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桃の髪飾り

お越しくださり、ありがとうございます。

 桃はその名の通り桃色っぽいミルティー色の髪がトレードマークの女の子だ。

「あー兄さま。何してるの?」


「うん、明日のお味噌汁の準備かな?」


「ふーん。桃にも出来る?」


(きた......。)


[桃にも出来る?]は最近の桃のブームだ。

どこにいても何をしていても周について回っては真似をするのだ。


箸の置き方や襖の閉め方辺りの真似までは皆も微笑ましく思っていた。


しかし、最近は少々度が過ぎてきている。

先日もトイレの前で。


「どうして桃は、あー兄さまみたいにオシッコができないの?」


と泣かれた時には、本当に困ってしまった。

その時は大人の助言も有り周が桃に合わせることで、ご機嫌は直ったのだが......。


とにかく、危ないことにならないように慎重に言葉を選んで周は桃と話をする。


「お魚ちぎれば良いの?」

桃の目が輝く。


「うん。煮干しのね、お腹と頭をね、こうやってとっちゃうんだよ。」


外したお腹と頭はこっちの入れ物に入れておいてね畑の肥料にするからと言えば桃は素直にそれを実行に移した。


(よし.....。)

周は事前の仕込みがうまく機能したことに達成感を味わった。


「何してるの?」


(あっ、)


「えっとね、繕い物をね......。」

周の言葉の歯切れが悪いのは準備不足からだ。

桃にも出来そうな事を頭をフル回転して探す。

裁ち鋏は大きいし危ない。

針など言語道断。

しまった。何も思いつかない......。


「も、桃ちゃん。」

もう敬称までおかしなことになっているが、勿論本人は気付いていない。


「なあに?」

幸い桃も気付いていない。


何かないかと視線を泳がせた先に咲き誇る藤が目に入った。


(これだ。)


「桃、髪飾りとか欲しくない?

この中の好きな生地を2つ選んでくれたら。私が可愛い髪飾りを作ってあげるよ。」


(どうか気持ちがそちらに向いてくれ。)


「えっ!良いの。」


(釣れた.....。)


十数分後、可愛いつまみ細工が揺れる

頭を気にしながら桃が、仕切りこちらを見てくる。

「よく似合ってるよ。」

と周が言えばそれは満足そうに頷いた。


一安心。


周が繕い物に戻ろうとすると

「あー兄さまのはコレとコレね。」

桃が、とても可愛らしい顔で

二枚のハギレを差し出してきた。


「えっ?」

お付き合い頂きありがとうございました。

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