玉子焼き
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「だから、根本的な解決策なんてないって言ったのよ。」
「雨が降りゃあ、万事オッケーじゃん?」
「そういう。出たとこ勝負みたいな戦略は村の運営には向かないの!」
このままずっと周をここに常駐させる気かと詩の鼻息が荒くなる。
「ったく。相変わらず小難しいってんだよ。」
おにぎりをほうばりながら抗弁する勇の目に詩の玉子焼きが目に入る。
「なんだよ、食わねーならもらうぞ!」
「食べるわよ!最後にとってるんでしょう!」
自身の弁当箱に伸びてきた勇のハシを手厳しくはたき落として詩が言う。
「これはね、周が私の為に焼いてくれた砂糖マシマシの甘々玉子焼きなの!
この甘さで焦げ目無しとか、ほんと奇跡の逸品なのよ!」
自分が焼いたわけでもない玉子焼きを自慢げに語る詩。
「えー!お前それ、ずりーよ。
俺だって干し海老マシマシの濃厚玉子焼きの方が良い!」
「あんたは増さなくていいのよ。」
帰山後
「なあ。師匠聞いてよ。周が酷でーんだよ。
詩の甘々玉子焼きは作るのに
俺に干し海老マシマシ玉子焼きは作れないって言うんだぜ。」
「あいつ、絶対女子に甘いって。」
「ちがうわ。私に優しいだけよ。」
詩が勝ち誇った笑みを浮かべて勇を見下ろす。
信は曖昧な笑みを浮かべてそれを眺めている。
(勇、詩、ちがうのだよ。周はうちの家計に優しいのだよ。)
干し海老なんて高級食材を毎日大量に使えるはずがないと信は茶をすする。
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