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木蓮の花が咲く頃

時系列を乱して申し訳ございません。

これはまだ、爽が期待の新人剣士だった頃のお話。


アルカナ城


「あれ。これ、木蓮?」


「左様でございます。お好きということでしたので。特に枝ぶりの良いものを見繕わせました。」


「あ、そうなんだ......。ありがとう。嬉しいよ。」


「何かご懸念でも......。」


「あ。いや、大丈夫!何でもない。」


明周は自分の言動で周りの大人たちの生活が一変するかもしれない事を知っている。だから、あまり自分から希望や要望を口にはしない。


明周の思い描いた木蓮はもう少し小ぶりの可憐な感じのものだった。所々に黄緑色の葉があって花弁も、もう少し薄く繊細な印象の軽やかな......。まるで白い蝶が群れ飛んでいるような感じの。


そうあの子の笑顔に呼応しているような......。


「ハハ。なんだろうな?爺様のところのアレは栄養不足だったのかな?」

明周は思い出の中の木蓮よりもずっと凛とした佇まいのその花を眺めた。



「おや?難しい顔をしてどうしたんですか?殿下。」

剣術の練習相手に最近抜擢された爽が声をかけて来た。


「あ、もうそんな時間だったか。今支度をするよ。そのあたりに掛けて待っていてくれ。」と言い残し、明周は着替えの為に席を外した。



ーーー

「どうだ!結構頑張ったんだぞ。先週よりは様になってないか?」

明周の期待に満ちた若草色の瞳が爽を射抜く。

実際、爽から見た明周の剣術は壊滅的だ。

本人はやる気に満ちているのが、何とも切ない。


「殿下。まずは健康体操などから始められては?」

私がゆっくりとお付き合いしますよ。

嫌味に聞こえないように兎に角、精一杯の愛想笑いと共に、更に精一杯の妥協案を提案してみる。


「え......?」


ちょっと気まずい空気が流れた。


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