表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1145/1165

<ハノキア踏査編> 71.意味深

71.意味深


  "次世代技術VRゴーグル開発プロジェクトリーダーに任命する"


 (これってまさか‥‥ミネルデバイス?!)


 ミネルデバイス。

 ネツァクでマルクトからネツァクへ精神だけを転送させる精神転送デバイスとして開発されたものだ。

 稀代の天才である山波南(サンバダン)頭応瑠美(ズールー)の2人で開発されたと言ってもいいほどの代物で他社が真似しようにも出来ない技術であった。

 結局スノウ達によってサンバダンとズールーの企みは阻止されたが、現在サンバダンだけは魔王アモンの体を乗っ取りどこかで生きており、雪斗(スノウ)としてはいつかスノウに復讐しに現れるのではないかと思っていた。

 雪斗(スノウ)としても望むところであり、必ず見つけ出してケジメをつけようと思っていた。

 因みにミネルデバイスが開発されるのは少なくとも6年後になる。


 「何だよ。不服か?三神(さんじん)

 「‥‥‥‥」

 「おい!三神(さんじん)!本部長様のご質問だぞ!秒で答えろ!」


 (早くこの場は去りたいが、このプロジェクトに参画出来るのは好都合かもしれない!)


 雪斗(スノウ)はミネルデバイスの開発の背後にあるサンバダンの計画を阻止することが出来るのではないかと考えていた。

 そしてそれはネツァクで樹木に変えられてしまったリリアラを救うことになるのではとも思っていたのだ。

 リリアラの樹はネツァクの道具屋フラガラッハの中庭に移されて今も美しい花を咲かせているはずであった。


 「分かりました。お受けします」

 「フン、お前如きに選択権があると思ってんのか?受けるか辞めるかの二択ですらないんだよ。お前は受ける以外の選択肢は無いんだ」

 「‥‥‥‥」

 (何だそれ‥‥意味分からねぇ。そんなこと許されるわけねぇのに)

 「へ返事はどどどうした!三神(さんじん)!」

 「はい‥」

 「フン。いつまで突っ立ってんだ。目障りださっさと消えろ」

 「失礼しました」


 スノウは呆れた気持ちを表情に出さないようにしながら(ジャバ)の執務室を出ようと扉を開けた。


 「あ、そうだ。因みにこのプロジェクトのオーナーは俺だ。必ず成功させるから覚悟しておけ。お前にどんな理由があろうとこのプロジェクトは予定通り成功させる。予定通りにだ」

 「!」

 「早く出ていけ。目障りだ」

 「‥‥‥‥」


 ガチャ‥‥


 雪斗(スノウ)は執務室を出て自席へと戻った。


 (ジャバのやつ‥‥最後のコメントはどういう意味だ?まるでおれの心を読んだか、未来を知っているような口ぶりだった‥‥)

 「いや、まさかな‥」

 「どうしたんですか?」

 「え?」

 

 雪斗(スノウ)が声のした方に振り向くとそこには田島がいた。


 「あ、いや何でも無いです。田島さんこそ何か用かな?」

 「この企画書に目を通して頂きたくて。上司は山崎さんなんですが、部長の目ばかり気にして中身を見てくれないので是非マネージャーに見て頂きたいなと思ったんです」

 「僕に?まぁ構わないけど、結局出目‥‥部長でひっくり返されてしまうかもしれないよ?それでもいいなら見させてもらうけど、どうかな?」

 「はい!是非!」

 「ははは‥分かったよ」

 「お願いします!」


 田島は素早く礼をすると嬉しそうに自席へと戻っていった。


 (何なんだ?‥‥雰囲気が随分違うな‥‥まぁあの歓迎会でジャバを撃退はしたけど、それでここまで変わるもんかね‥‥)


 雪斗時代であれば周囲の変化も自分を陥れる前の演技で優しくしておいて一気に突き落として落胆することを楽しもうとしているのではないかという思考が回ったはずだが、幾多の修羅場を潜り抜け大切な仲間を持った雪斗(スノウ)にはそのような感覚は消えていた。

 仮に煽てて落とされたとしても雪斗(スノウ)は大してショックを受けることはないだろう。

 雪斗(スノウ)は完全に自分の居場所を見つけて信頼していた。

 もちろんレヴルストラである。



・・・・・


 それから1週間が過ぎた。

 仕事は順調で、元々地頭は悪くなくそこそこ優秀ではあったのだが、これまでの経験で得た状況整理力判断力でテキパキと仕事を回していたからだった。

 雪斗(スノウ)であれば判断ミスするほどの内容もなかったのだが仮に判断を誤ったとしても誰かが死ぬわけでもないため、何ら臆することもなかった。

 必然的に時間に余裕が生まれ、その間ネットで様々なことを調べていた。

 レヴルストラの仲間の動きが知れないか、2025年に起こるはずの大災厄の予兆、山波南(サンバダン)頭応瑠美(ズールー)のことなどだ。


 (仲間の話題っぽいのはないか‥‥。ソニックもいるし流石に目立つような行動は取らないよな。2025年や2026年の話もどれも都市伝説的な話ばかりだな。圧倒的に2025年の話題が多いけど。山波や頭応の話は色々と出てくる。頭応はIITT(アイイット)って会社を経営している天才か。山波の方は最年少で皇塾へ入塾した大天才。そしてヘギャザテやその上位の存在‥‥イヌトとの繋がり。当然そんなものの情報なんて出てくるわけないか‥‥)


 「あの‥‥」

 「ん?あぁ君は八田野くん」

 「驚かないんですね」

 「何がだい?」

 「地方に飛ばされた僕が何でここにいるかってことですけど」

 「あぁ、そうだったね」

 「関心ないって感じですね‥‥まぁそっか。元々そんなに仲良かったわけでもないですしね」

 「ははは‥‥」

 (捻くれてんなぁ‥‥八田野くん、こんなんだったっけ?まぁ仕方ないか。左遷されたんだから。サラリーマン人生じゃぁ辛いよな。おれはその軸で生きていないから興味ないけど)

 「それでどうしたんだい?今日はこっちに出張か何かかな?」

 「まぁそんなもんです。で、ちょっといいですか?」

 「ん?ああ、いいよ」


 八田野は雪斗(スノウ)に用があるらしく、オフィスの外にあるカフェに行くことになった。

 それを見た出目金が文句を言ってきたが人睨みするとすぐに黙ってしまった。

 雪斗時代では途中で抜けるなどあり得なかったが、今では地を這う蟻のように全く気にならない存在となっていた。

 カフェに着くと其々コーヒーを注文し席に着いた。


 (長らく日本にいなかったから忘れていたけど、喫茶店的なシステムじゃなくてオーダーして受け取ってから席に着く感じだったんだな)


 「どうしたんすか?周囲見回して。もしかして何か霊的なものが見えるとか?」

 「あぁ、いや見えないよ」

 (そう言えば万空理(バンクーリ)は使えるかな)


 雪斗(スノウ)万空理(バンクーリ)空視(クーシー)を試みた。


 (おお!)


 スノウはホッとした。

 八田野の因が視えたのだ。


 (万空理(バンクーリ)が使えるのは嬉しい!魔法も使えない今ではおれがスノウである証明みたいなもんだからな)


 「三神さん?」

 「あ、あぁすまない。それで話ってのは?」

 「話の前に‥‥三神さん、なんか雰囲気変わりましたか?」

 「そうかい?」

 (雪斗(スノウ)は惚けながら変わって当然だと思った)

 「それで、話っていうのは、僕の彼女のことなんです」

 「田島さん?」

 「はい。今遠距離恋愛状態なんですが、以前と変わってきてて‥‥」

 「どう変わったんだい?」

 「いつも心ここに在らず的な会話になっていて、他に好きな人がいるような感じなんです」

 「そうなの?」

 (確かネツァクで八田野くんに世話になった時に聞いたには別れた、ってだけだったからな。理由は分からないが、いずれ素敵な女性と結婚するんだから悲観することもないだろうに)

 「ええ」

 「?」


 何故か怒っているような表情で強い口調で反応した八田野だった。


 「その原因が分かったんですよ。今日」

 「どういうこと?」

 「三神さん。あんたですよ!」

 「え?」

 「有美は‥‥僕の彼女はどうやらあんたに惚れてるみたいなんですよ!」

 「はぁ?!」


 突然の意味不明な発言に雪斗(スノウ)は驚きを隠せなかった。


 (勘弁してくれ‥‥)


 スノウの心の中で落胆のため息がつかれた。



いつも読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ