3-3“イペリアルと、三妖魔“
各々の吹き出し設定します。
「」←伊戸、レル、ルト
【】←セトラ
です。
—『ノイズィー山』。標高3786mの山だ。
そして絶賛俺が登りで息を切らしている山でもある…。
「伊戸スタミナ無さすぎじゃない…?」
レルがそう問うも、どうしようもない。元ヒキコモリだから。
現在は一合目1530m付近。登り始めて約1時間。
妖魔には出会う事なく、茂った木の多い場所が広がっていた。
「もう1時間登ってるが…妖魔が出るのは何mなんだ…?」
まさか山頂な事ないよな…?
もしそうなら3786mあるんだからもう1時間以上かかるぞ…。
【ミッション内容の妖魔が出るのは標高2000m付近だね。】
2000mか…ざっと後20分ぐらいか?
そんなに遠くない…か?
「2000mって…『翡翠湖』の所?」
……『翡翠湖』? 山なのに湖があるのか?
まぁ…ここは日本じゃないし常識が通じないこともあるから理解はでき—
「その『翡翠湖』ってのはどんな所なんですかぁ?」
思考しているとルトが遮ってきた。
まぁ俺も気になってたから別に良いけど。
「『翡翠湖』は翡翠色に光り輝く湖だよ。」
【其処の湖水は魔力を回復させる、と言われてるよ!】
魔力の回復か。魔術師にとっては重宝するのかもな。
てか翡翠色って嫉妬とか執着っていうネガティブ要素があった気が…。
まぁ取り敢えず登るか…。
≠≠≠
【着いたね!】
『翡翠湖』の存在を教えてもらってから約15分。
俺らは其の『翡翠湖』に居た。
「綺麗だなー…。」
『翡翠湖』は俺の想像以上に美しく光り輝いており、見惚れそうになった。
セトラとレルの言う通り湖面は翡翠色だったのだ。だが…
「なぁ、本当に此処なのか? 特殊な妖魔が出るって場所…」
こんな所に妖魔が出るとは思えない。そう思うと、聞かずにはいられなかった。
此れ程までい美しいものは見たことがない。だからこそ、気になったのだ。
【……流石伊戸だね。正解。妖魔が出るのは此処じゃないよ。】
俺が問くと、セトラが何かを隠すような素振りでそう言った。
おそらく、何かがあるのだろう。俺は深入りせず、セトラの話を聞くことにした。
【此処は『翡翠湖』…大昔に災害級の妖魔が住んでいた場所だよ。】
「「「え…?」」」
セトラの口から放たれた其の言葉に、俺とルトはおろか、レルさえも驚いていた。
知られていない情報なのだろう。俺は集中を高め、聞くのを再開した。
【災害級の妖魔…其の名は『ゲムス』。魔界から解き放たれた妖魔だよ。
其の妖魔の能力は『腐敗』。対象を崩す程の猛毒をばら撒く能力…。】
……俺はこの時すでに怪しんでいた。
『此れ程までに美しい場所に何故人1人居ないのか。』
其の理由が今此処ではっきりした気がする。
「其の妖魔…『ゲムス』が復活した…んだな。」
俺がそう言うと、セトラは薄く首を動かした。
続き、話を再開した。
【『ゲムス』は…復活したんだ。大昔に封印されたはずなのに…ね。】
「もしかして…ミッション内容の3体の特殊な妖魔って…」
レルの察しが効いたように先程と同じくセトラは首を小さく動かした。
その後、セトラは知る限りの情報を話してくれた。其の情報は以下の通りである。
#イペリアルの三妖魔#
大昔、帝都『イペリアル』には3体の強力な妖魔が住み着いていた。
『翡翠湖』の腐敗魔『ゲムス』。
『暗黒林』の束縛妖『フェッテ』。
『蒼白界』の誘惑魔『テンパー』。
其の3体の妖魔が『イペリアル』を守っている、そう伝えられていた。
だがある日、事は起こる。
三妖魔の激突だ。各々が突如として敵対心を持ち、攻撃を始めたのだ。
其の戦いは『イペリアル』を崩落寸前まで持ち込んだと言う。
そんな戦いの最中、現れたのが封印の魔術師であった。
封印の魔術師は各々3体の妖魔を元いた場所に封印した。
此れにより、『イペリアル』に平和が訪れたのである。
【……だけど近年、また突如として、封印が弱まったんだ。】
……突如として? 其れまでは完璧だったと言う訳か。
じゃぁ何故急に封印が弱まったんだ?
まぁ判明してないだろうけど…。
≠≠≠
……湖の底。更深く。裏の裏にて我は待つ。
二度の機会が来るまでと——




