表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェイクレザー「無明の拳精」  作者: 亀川暗(キセンクライ)
9/14

第9話 索敵補完

(現在時間)

 レイコは、滾る怒りを胸に鎮め…静かに氣を練っていた、召喚した花束をリカの遺体に手向けて。

(私のリカに…何してくれてんねん。大阪弁、移ってしもたやんけ、ヤバイヤバイ。)

その表情から、彼女の心を読むゼノ。

 「姉さん、本音が出たね。」

 「何言ってるの、お姉ちゃんが愛してるのは、ゼノ…あなただけよ。チュッ!」

弟に照れ隠しの、投げキッスをするレイコだったが…そっちもまた、本心である。


 回想シーンの間…少し時間は経過し、棺桶の中にリカの死体が入れられ、花で埋め尽くされているのと、斧から人に戻ったドリームは何処かに消えていた…

 「さっきまでの威勢はどうしましたの?」

行儀良く、リカへの献花を待っていたララ。

 「バサラ…」

レイコが謎の呪文を唱えると、リカの血を吸った棺の薔薇が、勢いよく飛び出す…

 「姉さん…ソレ、あの時の。」

 「そう、出会った時のリカを殺した、バカ兄貴の使い魔よ。」

 シュルシュルシュルッ!

ララの身体を縛りつける。

 「コラッ、離しなさい。ワタクシは、残忍様の眷属ですわよ。」

 「あんまり動かないでね…後で使う時、傷があるとイヤだから。お前も気をつけるのよ!」

バラの化け物に命令するレイコ。

 「ララちゃん、コレ見て。」

上着をめくり、胸元の巨大な瞳を見せるゼノ。

 「やめて…そんなモノ見せないで。」

 ピカッ!

強い光に一瞬目を奪われたものの…ララは、命からがらツルを手刀で切断し、脱出に成功した。


(日常に戻ったララ:ゼノナレーション)

 僕達との戦いから、逃走した彼女は一旦自宅に帰る事にしたんだ。

 (クソッ、何なのよアイツら。変態姉弟に、幼児女って。)

えらい言われ方である。

 (まあいいわ。姉の最大の武器、斧を破壊したし、リカを倒したんですもの…残忍様に褒めてもらえるはず。)

 安アパートの階段を登ろうとすると…

 「ニヤ〜ン…」

錆びた鉄の足場の下に、白い子猫がうずくまっていた。

 「ふんっ、そんな甘えた声出したった知りませんわ。ワタクシ、自分が食べるだけで精一杯ですもの。(ホント、安月給の職場なの)」

 足下に、脱ぎっぱなしのストッキングと、ビールの空き缶の散乱する部屋に戻り、TVのスイッチを入れ、コタツにくるまるララ。

 「お〜寒寒…(あ、あの子猫)」

あんなに冷たくしておきながら、何かが気になっている様子。

 「もう…仕方ないですわね。」

 ドテラを羽織り、外に出るララだったが、さっきの場所に猫は、もういない。

 「ふんっ、べ、別にどうでもいいですわ。」

 「フギャ〜!」

 「はっ?」

声を聞いて、建物の裏に回ると…子猫が、山から降りてきた、熊に襲われていた。

 「きゃっ、血が…」

似合わない可愛い声で、傷ついたその子を心配する。

 「爆…」

 ズンッ!バキバキ…

地面のコンクリートを、踏み出した足で砕き…そのまま、前に出した方の掌を拳に変え、熊めがけて爆撃拳を打ち出したララ。

 ズボッ!!スポンッ…

彼女の拳の形で、熊の腹に穴が空き…反対側の風景が見える。

 ブシャ〜!

血の雨が降る中、子猫を抱き抱え…濡れない様に守りながら、その場を去った。

 「よしよし…」

慣れない手つきで撫でながら、散らかった部屋に連れ帰る。

 「TV、つけっぱなしでしたわ。」

 その後、怪我が直った猫を引き取ったララは、見かけによらず大切に育てていった。

 そんなある日、すっかり懐いた猫と片付いた部屋で戯れていると…

 「ふふふ、ニヤ〜子スリスリ…」

 ピンポ〜ン!

来客のチャイムが鳴る。

 「ハ〜イ」

 ガチャッ!

玄関の扉を開けると、ひとりの女性が立っていた。

 「失礼します…お宅で、家のジュディを預かって下さってるって、お聞きしたんですが?」

 「いえ、きっと人違い…じゃ無く、猫違いですわ。」

 「ニヤ〜!」

子猫は走って、一直線に来客者に抱きついた。

 「あらあら…ジュディちゃん、甘えん坊さん。」

 そのまま子猫は、飼い主に連れ帰られてしまう。

 「ニヤ〜子…ワタクシの」

意気消沈するララ。ふと、子猫が残したエサのチュ〜るを口にする…

 「う…苦しい、ど、毒が。ブハッ!」

吐血し、苦しむララの目の前に…見覚えのある生足が。


(ゼノの演劇光線が解ける)

 「ハイッ」

パンッ!手を叩くレイカ。

 「ゴホッゴホッ…ワタクシの、ニヤ〜子ちゃんを返してですわ。」

苦みながら、トチ狂うララ。

 「ハ〜イ!ニヤ〜子役、私でしたぁ〜。」

手を挙げるレイコ。 

 「ちなみに、熊と飼い主の二役は僕です。女装はちょっと抵抗が…穴開けられたお腹も痛かったな。」

バッテンのバンソウコウを、お腹に貼っているゼノ。

 「良かった夢で。フフフ、グハッ!ガクッ…」

吐血し、謎の笑顔で息絶えるララ。

 「さてと…」

 グサッ!グチュグチュッ

 「リカの中…気持ちいいよ」

手刀で、棺桶のリカの死骸の腹を切り裂き…手を突っ込むレイコ。

 「オギャ〜!オギャ〜!」

血まみれの赤ん坊が現れる。

 「リカ、新しいカラダよ。」

ララの死体に近づいてゆき…その胴体にその子を物理的に突っ込む。

 パチッ!

元、ララだった者の目が開く…

 「ママ…オッパイ、バブバブ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ