第6話 信頼の報酬
特に依頼も無く、残忍の行方も分からない3人は…ただブラブラと、現実の街を徘徊する。
「来るよ…姉さん。」
強大な気配を、胸元の魔物によって感知するゼノ。
「しもた、ウチさっき死霊全部成仏させても〜てん。」
(プチ回想)
街にそびえる巨大なタワーに手を触れさせるデアボ・リカ。
「オ〜ン…アセンション・オン・ゴーイング!」
彼女の全身から、電流が走り…体内に溜まった無数の霊体が放出され、塔を伝って天に昇ってゆく。これは、彼女のルーティンである成仏の儀式だ、取り込んだ霊を周期的に電波塔を経由して…冥界へ送り届けているだった。
「これで、しばらくは普通の女の子や。」
但し、浄化後の彼女は霊力を失ってしまう。
(実時間)
「てなわけで、今回はゼノ君とレイコちゃんで頼むわ…バブバブ。」
「兄さんの匂いがする。」
「召喚…ドラゴン電光石火!」
気配を感じ身構えるゼノと、早めに龍を憑依させるレイコ。
「好き、好き好き好き…ララちゃ〜ん
ララちゃ〜ん、好き好きぃ〜!ハァ〜どっこい。」
奇妙な旋律で、登場する…残忍の子分ララ。
(誰が子分ですの!)=ナレに突っ込む女。
ドッゴオォォ〜ン!!
背後に、戦隊の登場爆発を起こしポーズを決める…ビキニボンテージ緑髪女は、鞭を振り回しながら噴煙をかき分け、近づいて来る。
「どんなプレイがお好み?」
「獣姦は、どうかしらっ!タァッ」
黄金のドラゴンを纏い、回転しながら…ソイツに体当りするレイコ。
「封印…」
ララがそう言うと同時に、巨大なガラスケースに閉じ込められてしまった。
チャリ〜ン…
腰の斧は、その外に落ちる。
ドンドンドン!
「出せっ!」
召喚龍は消え、その中で能力を失ってしまう。
「なにこれ、服が…」
レイコの衣服は溶け出し、徐々に全裸にされた。
「イヤ、見ないで。」
胸と股間を手で隠し、しゃがみ込んでしまう。
「恥ずかしいよぉ…」
彼女は、性的行為の前では無力と化す。
「姉さんを解放しろっ!」
服をはだけ、胸元の巨大な眼を開かせ…空間に渦を発生させるゼノ。
ギュィィィィィ〜ン…
天井にぶら下がる様に、逆さまになるララ。
「ハハハハハハハハハハ〜!悪人笑いしてやりましてよ。」
ガガガッ!ビカ〜!
暗雲を呼び、落雷を操り彼女にぶつける。
ビビビビビビ〜!
「あぁぁぁぁぁ〜ん!」
感電するが、ドコか嬉しそうなララ。
「現実、改変!」
ゼノの特殊能力が、発動した…
「ま、対象者の認識が、変わるだけやねんけどなバブ。つまり、またあの三文芝居が始まるっちゅうコッチャ。」
リカは、電柱の陰に隠れながら説明的なセリフを口走る。
(ゼノの世界)
宇宙世紀0008(トリプルオーエイト)僕達大地球軍は、日夜異星からの侵略者エビル・スピリット(ES)との戦闘に追われていた。
通称トロイと呼ばれる宇宙船、ブラックベース内で戦略武装兵器バトロン(いわゆるロボット)に乗り込み、出撃準備していると…
ピピッピピッ
モニターに通信が入った。
「ゼノ、聞こえる?左舷24時の方向に(適当やけど)、鮮血のコメット、ララが来た…バブバブ」
ピキ〜ンッ!
僕の脳内に電気信号が走り、聞き覚えのあるイヤな(でも可愛い)声が響く…
(どうした?ゼノ…姉を取り戻したくないのか?)
キシュ〜ン…ドゴドゴドゴ〜!
船外から、血の色のAFが、全身からミサイルを発射し…トロイの艦橋を直撃させる。
(ララがの声だったか…さすがだ、命令系統を破壊して、船を機能不全にするって)
ズゴォォォォ〜ンッ!
彼女の攻撃で船は大爆発し、恐らく全滅だろう…僕ひとりを除いて。
(ララ…僕の茶番に付き合ってくれるんだ?)
テレパシーで話かけてみた。
ピーピー
「頭使うのしんどいんで、通信でよろしいかしら?」
ズキュ〜ンッ!ズキュ〜ンッ!
僕が思考を飛ばしているスキを狙って、彼女は自分のロボで、両腕先端の指先からミサイル弾を発射し、バトロンの腹部に着弾させる。
(卑怯者め…)
「卑怯もらっきょうもあるか、ですわ。」
ギギギギッ!ババババババッ!
呪撃戦は続く。
「あ、ちなみにここ…宇宙空間やで。」
説明してくれる親切なリカちゃんは、オペレーター役だったが…船の爆発で船外に放り出されている。
(良かった無事で…それに、肌に密着した宇宙服姿もベリーキュート。でも僕はもうダメだ。バトロンの原子力エンジンが破壊された…爆発する)
キュルキュルキュルッ!
その時、宇宙空間から突如現れた姉の腰斧が変形し、コンコルドタイプの先端が尖った宇宙戦艦、スペースキラー号へと変化したんだった。
「ゼノ君の演劇空間は、際限が無いな。さすがにコレは引くわバブ、でも乗っからせてもらいまっさ…私はカモメ。」
物理的に船の上に跨ったリカは、そのまま交戦中の僕等を避けて…捕らわれのレイコ姉さんと所へと、暗黒宇宙を飛行する。
「アカンわ、コレ…」
全裸の姉は実時空同様、以前として硬質ガラスの様な霊的結界に幽閉されていたが…船でぶつかりながら、破壊を試みるリカには…諦めの表情が伺える。
「ゴメンやで、ゼノ君。ウチらが手伝えんのん、ここまでや。な、師匠…」
元姉の腰斧だった宇宙船に問いかける。
「リカ…ボクと死んでくれるかい?」
「当たり前やん…ウチ、アンタのお陰で今まで生きてこれたんやから。ほな、いこか?」
僕が、ふたりの会話の意味を知った時には…もう既に遅かった。
ピカッ! ズドドドドォォォォォ〜ン…
体当たりし、自爆する彼女達…結界は解け、その影響で破片を喰らい、炎上するバトロンから脱出した僕は、砕けた結界から飛び出した姉を抱きしめ…元の世界の戻る。
(現実時空)
バラバラになった斧、血まみれで白目を剥いて、息絶えるリカ。
爆風の中に、立ちつくすゼノとレイコ。
ふたりは揃って天空に手を上げる、すると空から装飾のついた棺桶がひとつ降ってきた。
ド〜ン…
それはリカと、いつの間にか人の姿に戻った斧だった者の前に落ち、地面へ縦に突き刺さる。
「棺、一個じゃ足りませんことよ。」
不敵に呆れ顔な、無傷のララ。
「(ゼノ、レイコ声を合わせて)これはな、お前の棺桶だぁ〜!!」




