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フェイクレザー「無明の拳精」  作者: 亀川暗(キセンクライ)
12/14

第12話 夏の雨を待ちながら

 残忍のアジトで、お菓子を食べながら、TVを見てくつろぐ3人…

「ゼノ…そろそろいいか?お前しか、ベアードの力をコントロール出来んからな。」

しびれを切らした残忍が、催促する。

 「兄さん、この感じでいい?」

TVの画面を指さすゼノ。

 「土曜日のお昼に、タイムスリップするのか…」

何かを感じ取る残忍。


(ベアードの妖力は、茶番劇に世界を巻き込む事、僕は発動した。以下シナリオ形式で、リスタートする。と…)


 パロディ喜劇

〈殺し屋は、夜明け前に目覚める〉

作・演出:ゼノ・デビル

大阪弁指導:デアボ・リカ

出演:

残忍・デビル/レイコ・デビル/ヒムラ・サタン/ゼノ・デビル/デアボ・リカ/

妖怪の皆さん

 

 ホンワカパッパッ、ホンワカパッパッ、ホンワカホンワカファ…


 とぼけたBGMが流れる中、幕が上がり…舞台が映し出される。

 食堂のセットに座る妖怪達。

子泣きジジイ「兄ちゃん、勘定して〜」

 奥から店員姿のゼノが現れる。

 ゼノ「ハイッ…え〜とラーメン四杯で、400万円ですぅ〜。」

 ズッテ〜ン!

椅子からズリ落ち、ズッコける子泣きと猫娘、ぬりかべ、一反木綿。

 ゼノ「あっ、間違えました。400円です…」

 子泣き「安っすぃなぁ〜(財布を取り出し、金を出す素振りを見せて)…つけといて!」

 ドテ〜ン!

今度は、ゼノがすっ転ぶ。

 妖怪達が退場し、横の席に座る二人組レイコと残忍がその様子を見ていた。

 残忍「ちょっと、トイレ行ってくるわ。」

 レイコ「何しに?」

 残忍「何しにって…お花摘みに決まってんがな。」

 レイコ「お花摘みって…カバがひき殺された様な顔して。」

 残忍「誰がカバやねん!」

言いつつ、トイレに入る残忍。しばらくして、顔を覗かせると。

 残忍「おいっ、レイやん…」

 レイコ「なんや?」

 残忍「紙無いねん…持って来て。」

 レイコ「しゃ〜ないな…ビリッ!ホレ。」

読んでた新聞の小さな切れ端を手渡す。

 残忍「こんなモンで、足りるかぁ〜!」

 レイコ「お前の尻の穴より、大っきいやろ。」

 残忍「もっと大きい紙、持ってこんかい!」

 バリバリバリッ!

レイコ、畳んで積んであった大きい段ボールを、便所に放り込むと…慌てて中から怒った残忍が飛び出して来る。

 残忍「お前は、俺をバカにしとるんかい?」

 レイコ「うん、バカにしてるわよ♡」

 オギャ〜!オギャ〜!

厨房から、赤ん坊の泣き声が響く。

 残忍「なんや、うるさいな。大将この声は?」

 ゼノ「すんまへん、捨て子ですねん…店の前に今朝がた。」

あやしながら、赤子(演:ちっちゃくなったリカ)を抱いたゼノが出て来る。

 ジリリーン

電話が鳴りゼノが取り、出前の注文を聞いている。

 ゼノ「こまったなぁ〜赤ちゃん連れて、配達行かれへんな。そうや、兄ちゃんら、そのラーメンタダにするさかい、ちょっと間この子見といてくれへんか?」

 残忍「まぁ、ちょっとくらいなら…」

 礼を言って、出て行く店主。赤ん坊を抱く残忍。不機嫌そうなレイコ…

 レイコ「面倒くさっ、何で私らが。」

 残忍「そない言うなや、カワイイやろ…ベロベロバ〜!」

 ギャア〜!

泣きわめく赤子。

 レイコ「貸してみ。ほ〜ら、高い高〜い」

残忍から取り上げ、その体を天井まで放り投げるレイコ。

 残忍「コラッ!死んでまうぞ。」

 キャハハハ…

笑って喜ぶ赤ん坊。

 残忍「また、ちょっとトイレ行ってくるさかい、この子見とってや。」

 レイコ「またトイレかいな、ゆるいケツの穴やな。」

 トイレに入る残忍。赤ん坊と、取り残されるレイコ。その時、また大声で泣き始めた。

 レイコ「なんや今度は…お腹すいたんか?」

 周りをキョロキョロするレイコは、赤ん坊を抱き…おもむろに上着の胸をめくる。

 レイコ「ちょっと待って、乳首立てるから…」

言いつつ、赤ん坊に乳房を吸わせる。

 レイコ「んっ…こ、この子テクニシャンやわ…あ、あ、アカンて…ソコ、ソコぉ…オーノー!あぁ〜んイックウゥ〜!!」

のけぞるレイコと、トイレから帰った残忍の目が合う。

 ふたり、声合わせ「わっ!」

 レイコ「何見とんねん!この、変態!」

 残忍「お前こそ、何してんねん。赤ちゃん使って、変態プレイか?」

 レイコ「誰が変質者やねん…そんな事言うてるてと、シバキ回すぞ…このマザーファッカーがぁ〜!!」

限度を越えた大声で、叫ぶレイコ…

 ズンズンチャチャ、ズンズンチャチャ、ズンズンチャチャ、ズンズンチャチャ、ピィ〜ユィン、チャ〜チャ、チャ〜チャチャ…

 勢いのある音楽が流れ出すと、赤いふんどし姿のヒムラが、平泳ぎの動作をしながら…舞台前面を駆け抜けてゆく。そして、周回軌道の果て…停止する。

 ヒムラ「何だ、この姿は…恥ずかしい〜!」

彼の体内から巨大な暗黒が溢れ出し…舞台の天井を破り、上昇してゆく。

 残忍「やはりな…アザトホースはお前だったか、俺の部下にしては優秀過ぎると思ってた。」

 その時…重力は失われ、空中に浮かび上がるセットと観客達。

 ゼノ「演劇空間解除っ!兄さんの思惑通りに災悪は絞り出せた、でもコレは僕達の手には…」

 

 バキバキバキッ!ギュウイイイ〜ン!

 廃墟の街…浮かび上がる人、車、砕けて上昇する建物。

 「見ろ、始まったぞ…」

空を見上げる残忍の視線につられ、天空に目をやるレイコ、ゼノ、リカ。

 「フフフ…私を覚醒させる為、こんな茶番を?」

そう言って、空全面を覆い尽くす巨大な闇と同化してゆくヒムラの姿は、触手の生えた雲のようだった…


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