表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェイクレザー「無明の拳精」  作者: 亀川暗(キセンクライ)
11/14

第11話 迷宮の悪魔

 「そこまで…」

 カツカツカツ…

闇の中から、陽炎の揺らぎを携えて…銀髪の長身女性が現れる。腕は8本、額に第三の目、スーツ姿の巨乳。ふたつの目には、白目が無く…赤い口紅(ルージュ)は、右方向だけ耳の上まで引かれている。

 「ようこそ…我が王子、残忍様のご家族一行」

紳士的な一礼をする女。

 彼女の姿を見て、それぞれ形を現す妖怪達。レイコに持ち上げられた壁男(ぬりかべ)、腹を刺したふんどし男(一反木綿)、ゼノを強襲した猫女(娘)、リカを押しつぶした赤ん坊男(子泣きジジイ)…一斉に攻撃を中止し、離れて整列する。

 「お迎えに参りました。ヒムラと申します…残忍一味の下っ端で〜す♡」

 「下の名前は?」

ゼノの血を拭きながら、腹の傷を自動修復したレイコは、睨みながら尋ねた。

 「サタンよ…」

 

 レイコと、彼女の霊力で完治したゼノとリカの三人は、薄暗い校舎の中…ヒムラの後をついて行く。

 「レイコちゃん…この女、ヤバイで。バブ」

警戒するリカ。

 「知ってる。ケドね、今戦ったらアンタ達は殺されて…私は、良くて相討ちかもね。」

妙に慎重なレイコ。

 「本来善良な妖怪を、あんな風に使うなんて…」

畏怖の念を抱くゼノ。

 ギギギギ、ギィ〜!

一番奥の、鉄の扉を開くヒムラ。

 「どうぞ、姫様。」

レイコを先頭に案内する…

 「ハッ…残忍様、なんてお姿に。」 

実験道具だらけの部屋、残忍は…ララにブチのめされた、ままの姿で気絶していた。が、気配に気づき目を覚ます。

 「よ…よう(鼻血を拭きながら)、ゼノと拳精様、あと?」

 「ウチは、リカや。デア・ボリカ…アンタのお母ちゃんの愛弟子や。バブバブ」

ララの顔におしゃぶりのリカが、自己紹介する。

 「そうか、ララを乗っ取ったか。で、ここに?」

 「オメー殺しに来たんだよ、バカ兄貴。」

斧を構えるレイコ。

 「切るトコ間違えると、ヤバイセリフやなバブ」

関西人では無いレイコには、リカの言ってる意味が分からない。

 「少し話そうか?」

残忍が、奥のソファーに腰掛けると…その横にピッタリ、ヒムラが立って寄り添う。

 「まぁいいわ…辞世の句、聞いてあげる。」

殺気満々のレイコを、肩を撫でてなだめるリカは、ふたりと共に…不気味な研究資材の並ぶ、テーブルの手前の椅子に腰掛けた。

 レイコは、怒気を混じえて口を開く。

 「で、私達の父ゴッドは何処?アンタが取り込んだって、ゼノから聞いたけど…あの偉大な人がそんな事になるなんて、信じてないのよね。」

 「父の姿を、まともに見た事があるか?」

 「な、無いわよ。でも、私達を作ってくれたって…お母さんが。」

 「だろ?彼は概念なんだ。物理的存在じゃ無い。で、正しくは取り込んだんじゃ無く、自分の内側に発見した…て言うのが、正解かな?」


(リカちゃんのプチ解説コーナー)

 なんやしらんケド、ややこい話なってきたんで、ちょっと説明入れさせてもらいます。

 これは、ウチが師匠の大天使ドリームに聞いた話…レイコちゃんとゼノ君を作ったゴッドと呼ばれるお父ちゃんは、肉体を持たない概念やったらしい。〈科学〉と呼ばれる、エセ魔術を使って、ふたりを創造した後…遍在意識(エーテル)になって、この空間に蔓延する存在になった…つまり、意志を持った空気みたいになったって訳。説明下手でゴメンちゃい。


 「分かりにくく言うとこうだ。古代から神と呼ばれていた、全知のホワイトホール…つまりゼロポイントを、自分の中に発見したのさ。」

リカの説明に、付け加える様に話す残忍。

 「て、事は…一度死んだんですか?確か命を失う事によって、その領域に達する事が出来るって、聞きます。」

ベアードに与えられた知力で、状況をいち早く認識するゼノ。

 「すぐに復活したよ、ベアードって言うかブラックホールの息子…いわゆる混沌の欠片を利用してな。」

 ゼノの胸元のひとつ目からのイメージが、そこにいる彼等全員の思考に、流れ込む…

(銀河を飲み込む強大なブラックホール、アザトホース…TON618と呼ぶ者もいるが。その分身たる我バックベアードは、地球の太陽を餌にして、そのエネルギーを喰らっていた時…死による上昇途中の残忍に捕らえられたんだ。何故なら、奴と通じる神聖体…その相反する智慧に抗えなかったから。)

 「そう、父ゴッドをハートの内に持つ俺は、ベアードを凌駕し…彼の妖力で、人としての形を取り戻し復活、つまり再来した。そして、このサタンと共に最終戦争を勃発させる事を思いついたのさ。」

 「最終戦争は、もう始まってるよ。お前達は、神の選別からハズレたんだ。」

腰斧の、大天使からのインスピレーションで、事を語るレイコ。

 「(ゴッド)による、天国と地獄への振り分けか…そうだな。でも、勝つのは悪魔(サタン)側だ…拳精様。」

 「試してみるか?さっき言ってた事が、事実なら…(ゴッド)は、私の中にもいるよ。それに、アンタはまだ無限の叡智に辿りつけていない…ハートポートの開き方が、中途半端なのよ。」

椅子から立ち上がるレイコ…続いて、イヤイヤ戦闘体勢を取るゼノとリカ。

 「待て…八月に、アザトホースが重力を奪いにやって来る。だから、一旦休戦し…協力して欲しい。」

この場での戦いを、拒否する素振りを見せる残忍。

 「何の話だ?」

攻撃をためらうレイコ。

 「レイコちゃん…ここは。バブ」

彼女をたしなめ、猶予を稼ごうとするリカ。

 「姉さん。」

 「ゼノが言うなら…ハ〜」

弟に弱いレイコは、ため息をつき…再び椅子に深く腰掛ける。

 「妹弟達、あと偽革(フェイクレザー)女…共に闘う、勇気はあるか?」

 「(レイコ、ゼノ、リカ、3人声を揃え)んなもん、あるかい!」

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ