仲間たち 2
ラットさんが出ていった後、毛布を被ってゆっくり目を閉じて眠った。
久し振りに夢も見ない程深く眠った。
ふと、目を覚まし身体を起こすと机の上に置いてあるモノが目に入った。
毛布を被ったまま机に近付いてソレをみる。
食べ物だろう....多分。
固く平たい円盤のような形をしたナニカとオレンジ色のスープらしきもの。
どうしたらいいか分からなくて、とりあえず保留にして水に手を伸ばした。
木のコップに水を注ごうと水差しを持ち上げたが予想外に重く両手で持っていれた。
(筋力が落ちてる....体も鉛みたいに重い)
剣も片手で軽々振れていたのに、今は水差しを持ち上げるだけで精一杯とは...
ぼんやりと手をみて小さくため息をついた。
レントゥスの遺体は、きっと持ち出せなかっただろう。
ラットさんが燃やしてしまったから...いや、燃やしてくれた研究所に彼を置いてきてしまった。
あの美しく優しく穏やかな青年を、地獄のなかに置いてきてしまった。
私の手は、なんて無力なのだろう。
私の能力ですら、他のナニカにすがるものだ。
召喚魔法を手に入れたのに...世界を壊せる力を手に入れたのに....
私の心は、酷く重たくてキリキリと音をたてて締め上げられていく。
「どこか、痛むのか?」
知らない声が聞こえそちらを向くと知らない人がいた。
灰色の髪に綺麗な碧色の瞳を持つ目付きの悪い青年だ。
「...いや、大丈夫....ただ、食べ方が分からなくて....」
彼から目をそらしお盆に乗せられた食べ物をみる。
今思えばこのスープちょっと冷たそうで少し食べたくないかもしれない。
「....朝、新しくなにか貰ってくる。今はまだ寝ていろ」
灰色の青年は、いつの間にか私の横に立っていた。
その碧色の瞳は、なんだかとても苦しそうで悲し気だった。
「ラットを呼ぶか?」
私の手首を掴み、ぐいと引っ張ってベットに座らせると青年は言った。
私は、首を横にふってそれを断った。
外は、まだ薄暗い...きっとまだ、四時か五時あたりだろう。
ラットさんも疲れているはずだ。
今は、休ませてあげたい。
彼にとってもあそこは、地獄だったから。
「そうか」
灰色の青年は、それだけ言うと部屋から出ていった。
(あ、名前....名前聞くの忘れた)
ばたりとベットに倒れると存外硬くて痛かった。
でも、檻の中よりマシなものだ。
あそこは、冷たくて寒くて狭かった。
汚いぼろ布よりもこの布の方がまだ毛布らしい。
(....早く....朝にならないかな....)
暗いのは平気だったのに、もう苦手になりそうだった。
ここは、自由な空の下なのに....暗い部屋は何故か檻の中にいるような気持ちになる。
レントゥスと離れた日の夜のような寂しさと悲しさが混ざった涙が出そうな程苦しい気持ちに....似ている気がした。




