仲間たち
本日二話目。
ふ、と目を覚ますと知らない天井だった。
....ネタではない。
いつも見ていた鉄の天井ではなく木の天井だったのだ。
身体を起こすとズキリと節々が痛んだ。
周りを見渡すと机と椅子しかなく殺風景な部屋に見える。
だが、初めて見る地下以外の景色に感動した。
窓はガラスではなく、板が棒で止めるタイプのものだった。
そっと起きて窓に近寄り座る。
青くて綺麗な空は、日本と変わらなかった。
美しく清んでいてキラキラしていた。
涙がポタリと落ちる。
こんなに綺麗な空を私はここに来て初めて見たのだ。
あの外部闘技場から空を見上げたことすらない。
全てが灰色に染まってしまい苦しかった。
レントゥスにも見せたかった。
涙を拭ってまた空を見上げる。
しばらく、ぼんやりと空を眺めていた。
まだ、所々曖昧な記憶をゆっくり開きながらこれからどうするかも考える。
「起きたか、クノギ」
声をかけられて少し驚いた。
前ならすぐ気付いたのに全く気づけなかったからだ。
やはり、五感は元より強化された身体能力も日本にいた時並みかそれ以上に低下しているのだろう。
「ラットさん...?」
記憶の中のラットさんは、もう少し髪が長かった気がして首をかしげた。
腰半分位髪あったよね?と思いながら彼をマジマジとみる。
「....はぁ....この私に、厄介事押し付けて寝るなんてお前くらいだぞ」
そういえば、私気絶しちゃって........
「....ごめん、ありがとう。」
そういうとまたため息をついた。
「ここは、まだミクフィリア王国内だ。
お前が気絶した後すぐに強化された者達の反乱が起きた。
が、研究者はすでに殺されていたからな....金品奪って武器と服を適当に見繕って研究所燃やして逃げた。」
........わぁ........流石ラットさん....
「研究所は、森の中に建てられていたからな燃やすのは簡単だった。
地下も油撒いて火つけたから大丈夫だ。
とりあえず今はこの国から出ないといけないのは確実だ。
いつ顔がバレるか分からない上に貴族殺しだ。
クノギ....お前、まずいことになるぞ」
金茶色の髪が肩くらいにまで短くなったラットさんが頭を片手で支えるようにしてため息をついた。
「....もう....覚悟は出来てる。
それに....レントゥスの頼みだから」
ぼんやりと空を見上げながら呟く。
「守って欲しいって....頼まれたから....
皆を守るよ。....私、弱いけどね」
苦笑しようとして表情が動かなかった。
なんか気持ち悪くて頬を触るがわからない。
「....亜人を守るというのは世界に喧嘩を売るようなものだぞ」
ラットさんは、眉をひそめていう。
本当に彼は、優しいと思う。
「うん。いくらでも売るよ。喧嘩くらい。
皆が笑えるような町でも都市でも作って暮らせればいいよ。
その場所を命をかけて守るよ。」
レントゥスが笑ってお礼をいってくれるように。
幸せに暮らせる場所を作ろう。
「....お前は....」
ラットさんは、なにか言葉を呑み込んで盛大なため息をついた。
「お人好しの馬鹿が」
「えっ、急に辛辣」
スタスタ近寄ってきたラットさんは、私の身体を抱き上げるとベットに寝かせた。
驚いた。いや、真面目に。
「お前の言葉はちゃんと皆に伝える。
お前は、今は休め。」
そう言ってくしゃりと私の頭を撫でた。
ラットさんは、なんだか穏やかな笑みを浮かべていた。




