消えて崩れて壊れて創る 3
ブックマークありがとうございます。
ズキズキと響くような痛みに眉をしかめながら鎖を引かれて歩く。
その痛みは、闘技場に近づく度に酷くなった。
明るい光が差し込む外部闘技場には、たくさんのモヤがいた。
昨日黒いモヤが言っていたミクフィリアとかいう国の奴等だろう。
ふと、闘技場をみると人がいた。
私には、認識出来なくなった形をした人がいた。
闘技場に近付くなと警告する頭痛がふっと軽くなりその人物に釘付けになった。
「久しぶり、クノギ。折角再会したのに悪いけど....僕を....」
殺してくれ無いか?
水色の髪に水色の瞳。
顔に少し鱗のある青年。
「レントゥス....なんで....」
見覚えのある彼には自分と同じ瞳があった。
「なんで....レントゥスに魔眼がッ」
頭の奥で溢れ出す記憶に呑まれそうになりながら呟いた言葉は酷く悲しい響きだった。
私は、この世界に落ちる前は普通の中学生だった。
来月に受験を控えていて色々焦ってた。
夜も勉強してたから寝不足でコーヒー飲もうと思って部屋から出てすぐの階段を踏み外して落ちた。
気が付いたら知らない場所にいて知らない人に捕まって檻の中に放り込まれた。
言葉は何故か通じたしなんとかなると思ってたくさん話したのに私は実験動物にされた。
異世界人は、初めてだとか言われて血を取られ皮膚を採取されて身体を切られて開かれては死にかけて死にかけては、再生させられて...
地獄は、こんな世界なんだと思った。
腕を取られてすぐ治癒させられてから私はある檻に入れられた。
そこで優しい人にあった。
水色の瞳と髪に不思議な鱗を持った優しげな青年だった。
痛みで泣く度に背中を撫でて声をかけてくれた彼を兄のように慕った。
彼も辛い実験で泣きたかった筈なのにいつも私に泣かせてくれた。
ラットさんという治癒術師と話したのも彼がいい人だと言ったからだった。
金茶色の髪の彼は、いつも酷く憂鬱そうにしていた。
そして、私と....レントゥスに小さく謝るのだ。
彼は、エルフという種族で風の魔法と治癒魔法が得意なのだと言っていた。
レントゥスは、水魔法が得意だと言って笑った。
私は、魔法がなにか分からなかったから首をかしげながらもなんだか嬉しくて笑った。
そして、あの日が来た。
いつも来る茶髪の白衣の男性から黒髪の男性に変わったのだ。
その男性をみた瞬間、レントゥスは私を背に隠して怒鳴った。
彼が怒鳴るところを初めてみて私は、驚いた。
何かが違うと気付いた時、私をみて黒髪の男性は笑って言った。
「君が彼を守りたいなら来なさい。
目の前で彼を死なせたくないならね」
私は、レントゥスを死なせたくなくてギュッとレントゥスの服を握りしめた。
レントゥスは、卑怯だぞとかどこまで外道なんだとか叫んでいたけれどそんな彼を囲む大人が剣を抜くのが見えて覚悟を決めたんだ。
レントゥスを抱き締めてから黒髪の男性に近付いてレントゥスに一切なにもしないことを条件に彼の手を取った。
レントゥスがずっと駄目だって言っていたのに私は愚かにもその手を取ってしまったのだ。
それからは、もう地獄なんてものじゃなかった。
秘泪の魔族の左目というのを移植されてからは、毎日激痛が襲い掛かってきた。
それに適応すると黒猫が話しかけてくるようになった。
秘泪の魔族の断片だと言っていた。
黒猫は、秘泪の魔族の生き残りでこの世界では魔王と呼ばれていたそうだ。
そんな彼の左目には、願いを一つだけ叶えてくれる機能があると言われた。
私は、信じなかった。
はいはいと聞き流していた。
そんなある日、闘技場に連れていかれたのだ。
訳もわからず困惑していると剣を渡されて中央の丸い囲いのある場所に押し出された。
そして、あの地獄でみた少年少女と殺し合いをさせられたのだ。
初めて人を殺した罪悪感と知り合いを殺したという意識に呑み込まれて私は思考を放棄した。
記憶を押し込めて鍵をして都合の悪いことに目をそらし意識を意図的にぼやけさせた。
そのツケがこれなのだとしたなら私は、どこで道を間違えてしまったのだろうか。
ここまで読んでくださりありがとうございました、




