消えて崩れて壊れて創る 2
左目がズキリと痛む。
こういうときは、アイツが来る。
私のことを見てきたかのように喋る黒猫が。
『やぁ、気分はどうだい?来栖野 此木。
今日は、犬族の彼を殺したんだねぇ。
彼、君を知っていたのに酷いことをするね』
クスクス笑いながらいう黒猫は、目を細めて笑う。
「...私は、みたことない....嘘つき」
夢の中でしか会えない黒猫は、またクスクスと笑った。
『君が忘れただけさ。
その幼い精神じゃこの責め苦には、耐えられず自己防衛の為に封じ込めたのさ』
憐れむような楽しむようか声で猫は言う。
「それでも、私は知らない」
耳を塞ぎ目を瞑っても黒猫の姿は、消えない。
『可哀想な此木。その責め苦を終えることはないのにね。これからもっともっと辛いことが起こるよ。可哀想な此木。その幼い身体は壊れてしまうかもしれないね。』
ケラケラ笑う黒猫を睨み付けると更に笑みを深くした。
『君がもしも壊れてしまう程強く何かを願ったら僕が叶えてあげるよ。代償は貰うけどね。』
また、ケラケラ笑う黒猫に耐えられずなにか言い返そうと口を開こうとした瞬間....意識は外へと弾かれて目を覚ました。
「....化け物め」
苦し紛れに呟くと左目がズキリと痛んだ。
「明日、ミクフィリア王国の大臣がいらっしゃる。
お前の完成度を観にな。殺るなら派手に殺れ。
お前には攻撃魔法がないかわりに五感の全てが獣より上なんだ。
身体能力もマガン実験体の中じゃ一番と言っていい。
強化兵器実験体の紛い物を瞬殺出来るんだからな。本当にお前は優秀だ。」
黒いモヤが得意気に私に言った。
どうでもいい、と思った。
死ぬなら死ぬし死なないなら死なないでいいと思った。
そんな事より頭が痛い。
ズキズキと響くような痛みにズシリとのし掛かる重みにくらくらする。
まるで....
何かが檻から逃げ出そうともがいているようだった。




