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世界は不条理で出来ている  作者: 高遠
第一章 始まりのはじまり
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消えて崩れて壊れて創る

ヒトを認識出来なくなったのは最近のことだ。



「出てこい、ナナシ」



黒いモヤがかかったヒトが鎖を引っ張って言うけれど私の名前はナナシじゃないし気持ち悪いから近寄らないでほしい。

黒いモヤは、顔面をおおっていて誰が誰だかわからない。

手も真っ黒だ。服しかわからない。

判別する必要もないけれど頭が酷く重たい。

まるで、鉄の重りを乗せている気分だ。

首輪を引っ張られて仕方無く立ち上がり檻から出ると歩き出す。

この薄暗い地下のような場所に閉じ込められて随分な時間が経っている。

お母さんは、心配しているだろうし早く帰りたい。

しばらく歩くと開けた場所に出た。

今日は、人殺しの日らしい。


「No. 125 猫族。魔法スキルは雷のみ。

強化実験を行い瞬発力が向上していますが思考能力は皆無」


反対側にいる黒いモヤが喋った。

あぁ、とても不愉快だ。

その喉をかき斬ってしまいたい。

首輪が外されて中央の丸い闘技場へと押し出される。

ずっと、黒いモヤが揺れている。

体もふらふらしていて見ていて危うい。

左手に持った剣をゆるりと揺らすとそれは襲い掛かってきた。

それを避けることもなく左手の剣を右に真っ直ぐふるい斬る。

ここに来るといつも皆突っ込んでくる為そうするだけで大体のモヤは死んだ。

今日は、違ったようだがどうでもいい。

ゆるりと体を揺らしてから走りモヤの首あたりを目掛けて剣を振るう。

キンキンと鳴り合う音に不快感を感じて距離を取りまた走っては斬り合う。


(殺してあげないと...可哀想だ)


重たい頭のなかでぼんやりと思う。

これ以上地獄に身を落とすのは可哀想だ。

早く、殺してあげよう。

くっとタイミングをずらしてから足払いをかけバランスを崩してから心臓を貫く。

黒いモヤがズルリと下に落ちた。

赤い液体がじわじわと足元を濡らしていく。

重たい頭の中で何かが泣いた。

思い出せない感情が私の中で揺れている。


「よくやったナナシ。」


後ろからまた首輪が付けられて鎖が鳴る。

頭の中がゆらゆら揺れて心臓の辺りがきりきりと痛む。

ふと、視線を感じて顔をあげると黒いモヤがいた。

でも、それは薄くて金茶色の長い髪が肩あたりで揺れていた。

みたことがあるような気がしたけれど記憶にはなかった。


「腕の傷を見せなさい」


黒いモヤが私の右腕をつかんでからすぐに治癒魔法がかけられた。

こういうとき言わなきゃいけない何かがあった気がするのにわからない。

金茶色の髪をした黒いモヤが小さく呟いた。

けれど、私には理解できなかった。

鎖を引っ張られてその黒いモヤとは離れてしまった。

また檻に戻ると奥で小さく丸くなる。

そして、黒いモヤに言われた言葉を小さく呟いた。





「すまない、オチビトよ」

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