妖しく笑え
遅くなりました。すみません。
新章開幕です。
白い悪魔、魔王の娘、獣使い、優秀な策士、知識人、血濡れの賢者。
数多の呼び名を持ち、世界革命を起こした戦争犯罪人、クルス・マギア。
偽名をいくつも作り顔を変え人を騙し最重要情報を握った最悪の少女。
彼女の始まりは、未だに明かされていない。
どこかの滅びた国の王女とも普通の町娘とも言われているがどこで生まれ、どこで生き、どこでその知識を手に入れたのか不明であり研究者泣かせとも言われている。
一方で教会からは異端認定された勇者、アイノという存在がありその勇者こそがクルス・マギアなのではないかとも言われている。
遥か昔の時代、獣人が獣と変わらぬ扱いを受けていたとされる今では考えられないその歴史。
その歴史を変えるために奔走した幼き賢者。
彼女の過去は闇に包まれており未だに解き明かされることはない。
しかし、彼女の強さは異常でありその魅力の元に集った者達もまた異常だったという。
革命者集団の幹部であり一番の戦闘力を誇った《シロカラス》のリーダー。
僅か十六歳にして一つの町を己の手中にいれたと言われその優秀さにディミオスのリーダーファクル・アフティは、舌を巻いたとされている。
彼女等を自分の国に引き入れようと各国が接触を計るも全て断られ丁重に潰されたらしい。
《シロカラス》を育て上げ革命家としても名高いクルス・マギアという少女をこの本では追っていこうとおもう。
《良く解る革命と歴史》著者 カーウ・バウド
ニコリと笑えば相手は怯えたように肩を震わせた。
ここは、美しきカールハーバントン都市の商業地帯。
そこから少し外れた場所にある小さな店で最近出回り始めたらある紅茶。
それを辿って来たのだが....少し期待外れだったようだ。
『あなた方がどんな外道であろうと私は構いません。殺処分すれば良いだけなので』
悪人がいくら死のうがどうでも良い。
関係無い者達が死ぬのは我慢ならない。
それらを喰い物にしたコイツらなど更にどうでも良かった。
「あ、あんた達がどれだけ強かろうが俺等のバックにはッ『犯罪ギルド、ですか?快くあなた達を売ってくれましたよ(........)?』
サッと顔色が悪くなる人間に更に笑いかける。
『あなた達は、まだ利用価値がありますので生かして差し上げます。
ただし、その紅茶を全て処分してもらいます。』
声を荒げようとする彼の首に刀を滑らせれば悔しそうに私を睨み上げた。
仮面のように笑みを浮かべる私を彼らはどう思っているのか聞きたいが今は仕事が先だ。
『精々、生き恥晒して悔しがってくださいね?
あなた方が回した紅茶の被害者が笑うくらいに。』
麻薬と紅茶を混ぜるなんて....本当に最低なことをしてくれた。
回すのは、ギルドの下級ランク者達と平民より下とされる農家。
それにスラムの者たち。
「くそガキがあ”あ”あ”あ”あ”ッッ」
怒鳴りとも咆哮ともいえる声を上げた男にクーアをけしかけ地べたに押さえつける。
『元気がよくてなによりです。
がんばって生きて下さいね?』
ニコリとまた笑い叫び声をあげる男から離れる。
(もう少し使えそうだと思ったのだがやはり人間は人間か。)
背後から現れた黒ずくめの男を一瞥して小屋から出ていく。
「おつかれさん」
『ハイガも雑魚の始末お疲れさま』
背の高いハイガを見上げると首が疲れる。
ふぅとため息をついて周りに転がる人を避けながら歩く。
「あやつらはどうする?」
『ファクルに渡しといて』
「....了解した」
黒ずくめの男が離れたのを確認してクーアを呼ぶ。
「ディミオスの幹部だろ?もうちっと部下を敬ってやれよ」
苦笑気味にハイガが言うのをため息で受けとる。
『あいつ、ドMだからあれくらいで良いの。
私だって年上は敬うよ?
だけどあれは無理だね。
優しくしたら土下座して罵れって言ってきたもん』
ハイガの額に青筋が浮いたのを見て見ぬふりをした。
あいつがボコられ死のうと喜ぶ顔しか浮かばないからだ。
ギルドランクを上げ、知識をつけ、鍛冶場や細工場に出入りした一年。
ファクルと再び会った時、私は彼の手をとった。
それから更に一年。
シロカラスを作りハイガ達の他にも仲間を増やした。
黒革の眼帯を撫でると奥がずくりと疼いた。
やっと....やっと、あの国を滅ぼせる....。
あの腐った奴等を殺せる。
歪んだ思考を嘲笑いつつ前を見る。
戦争の準備は、着々と出来ている。
あとは、拠点から撃つだけ。
足掻く暇もないくらい完膚なきまでに潰してやろう。
教国も人も思想も生活さえ変えてやる。
文明破壊をしよう。
腐り落ちた果物をお偉方に叩き付けて笑ってやろう。
さあさあ、ゲームといこう。
私が死ぬか、人が生きるか。
それだけのゲームだ。
主人公がマジ悪役(´・ω・`;)




