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世界は不条理で出来ている  作者: 高遠
第一章 始まりのはじまり
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七日間の旅 6

ターラさんに抱き上げられて微妙な気持ちを隠せず下ろしてもらった。

子供扱いは、嫌だ。

中学生は、充分大人に近い考えを持ってるのに子供だって言われるのはちょっとむかつく。

まぁ、それが子供だって言われる要因なんだろうけど。


「券買ったしさっさと乗るぞ」


ハイガは、トランプ位の大きさの板をふって言った。


「券って板なんだ」


紙だと思っていたけどどうやら紙は高価なものらしい。

ハイガに貸してもらった板は普通の木の板だ。

なにかの動物が書かれている。


「このしか?みたいな動物なに?」

「シカ?それは、パクだ。悪いことが起きたら知らせてくれる聖獣様だ。」

「へー」


それ、地震が起きる前に鳥が移動するのと同じような原理なんじゃないの?

カナリアが毒物に敏感なのと一緒で本能じゃないかと思う。


「パクって実在するの?」

「あぁ、居るぞ。実際は狂暴で手に負えない程強いらしい。数は少ないらしいが東の森だとよく見かけるらしい」


ハイガは、色んなことを知っている。

見た目は、チャラいというかなんか不良っぽいのに実際は頭が良くて物知りだ。


「お、来たか。ん?お嬢ちゃんも魔洞窟へ?」


馬車につくと髭のおじさんが眉を寄せて私を見た。


「これでも十四なんで気にしないでください。」


イラッとしながらいうと苦笑された。

このおじさんは、獣人というより亜人をどう思っているんだろう。


「ほれ、手貸しな。乗れないだろ」


なぜ私から乗ることが決定してるんだろう。

後ろを見るとハイガに早くしろと背中を押された。

仕方無くおじさんの手を握り板に足をかけて乗った。

意外と狭い。あと暗い。


「あんたらは、乗れるか?」

「あぁ、問題ないぜ」

「そうか。じゃ、他が来るまで待っててくれ」


おじさんは、馬車を降りて馬の方に行ってしまった。

ハイガたちが軽々と乗るのを苦々しく思っているのがバレたのかカミウさんに苦笑された。


「馬見てないや」


真ん中に空いた大きな長方形の穴というか窓に顎をのせて呟く。


「あー、まぁ、夜にでも見れるさ。」


ハイガが笑いながら言う。

まぁ、良いけどさ。

馬車についているイスは固くてちょっと座り心地が悪い。

あと、狭い。本当に狭い。

因みに席順は、私の右にハイガ左にラットさん。

右側がまだあと三人くらい乗れるスペースがある。

前には、ターラさん。

ターラさんの左にマグリスさん。右にカミウさん。

マグリスさんの隣からまた三人分スペースがある。


「此木、これしとけ。カミウに買ってきて貰ったやつだ」


渡されたのは布製の眼帯だった。

いや、目を隠すためなのはわかるけど。

眼帯かあ、初めてするな。


「ありがとう、ハイガ。カミウさん」

「短剣なんかを買ったときのついでだから気にするな」


いつの間に買いにいってたのさ。




それから、しばらく外を眺めていたら人が乗ったのか馬車が軋んだ。

そちらに目をやると冒険者らしい。

革製の胸当てをし剣を持った人は、まだ若く私と同い年くらいに見えた。

フードをした人が二人に槍を持った人が一人弓を持った人が一人。

あっという間に馬車は埋まりあと一人分空けて落下防止用の板をかけられて動き出した。

町が緩やかに過ぎていく。

意外とゆっくりペースらしい。

まぁ、ハイガ達が早すぎるだけなんだけど。


「クルス、座れ。危ないぞ」


ラットさんにクルスと呼ばれて驚いた。

とりあえず頷いて大人しく座るがお尻が痛くなりそうだった。

揺れるし跳ねるしうるさいし。

馬車は、静かだと思っていたけど違うみたいだ。

ガラガラとなる車輪に道の小石に跳ねる車体。

....私は、六日も耐えられるだろうか。

その前にお尻が死んじゃうかもしれない。





しばらくぼーっとしていたが如何せん暇だ。

周りは静かというか寝てるし。

手遊びでもしようかと思い付いたが乾物が入った袋しかない。

仕方無く頭の中で一人しりとりをした。









ガタンという揺れに起こされて目を開けるとラットさんの膝にいた。

ぎょっとして起きると周りから生暖かい視線を貰った。

なにこれ、恥ずかしいんだけど。

フードを深くしてからラットさんをみたらラットさんも寝ていた。

なんだ、良かった。私だけじゃなかった。


「君はいくつくらい?」


剣を持った少年が優しげに声をかけてきた。


「十四だけど」

「えっ!あぁ、ごめん。そうなんだ」


苦笑いを浮かべた少年は、優しげに私を見た。

なんなんだ。

少年は、薄い茶髪に同色の瞳をしていて肌が白くてなんか良いとこの坊っちゃんという感じがした。

少年の隣のフードの人は、下を見ていて顔は分からない。

マグリスさんは、小さく笑いをこらえていてちょっとむかつく。

外に目を向けると昼くらいなのか明るかった。

夜寝れないかもなあと考えながら外を眺めていると遠くの方から何かが走っているのが見えた。


「ハイガ....あれ、なんだろう」


ハイガの肩を叩いて外を指差した。


「あ?....盗賊....か?遠すぎてわかんねーな」


馬なのは、辛うじて見えるけど....あれ、盗賊なのか。


「森が近いから襲いに来たのかもな」


ハイガは、小さく呟いて御者をやっているおじさんに声をかけた。


「横からなんか来てるぞ!!」


えっ、そういう言い方するの?

すると、馬車の速度が上がって体がかくんとなる。

というか舌噛んだ。


「大丈夫か?」

「しはひゃんだ」

「だっせ」


バシッとハイガを叩いて大人しく座る。

舌がピリピリする。

しばらくじっと痛みに堪えているとハイガが私を引き寄せた。


「なに?」

「来たぞ」


窓から槍がつき入れられてギョッとする。

なんかもう驚くことが多くて疲れてくる。


「馬車を止めろ!!」


外から怒鳴り声がする。

ハイガの舌打ちが妙に近くてすごく嫌だ。


「タイグどうする?」

「乗ってくる前に終わらせたいが数によるな」


槍の厳ついお兄さんと普通な感じの弓のお兄さんが小さく相談を始めた。

フラグとかいらないんだけど。

マグリスさんをマグルスさんって書きそうになるのをそろそろ直したい。

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