七日間の旅 3
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宿に入るとフードの集団は目立つ。
すっごい目立つ。
夜なら怪しいとか思ったけど夕方でも怪しいね。
宿のおばさんは、私たちを訝しげに見ていたけど私を見てコロッと態度が軟化した。
え?なにそれ、怖い。
宿の部屋は、六人部屋にして安く済ませた。
私は、別に気にしないけどターラさんは大丈夫なのかと心配になった。
でも、全然気にしてなかった。
流石です、姐さん。
「あー、此木居て良かったなー」
ハイガが固いベットに腰かけて言った。
皆が一安心みたいな顔でうなずくのを見て首をかしげる。
「ラットさん、なんで一安心なの?」
むしろ今から難癖つけられるんじゃないの?
あの無人宿って名前の廃墟とは違うんだから。
「あぁ、子供がいるから顔を隠して宿に泊まる人は多いんだ。
子供は、無警戒だろ?だから親が代わりに怪しい風体して子供に目がいかないようにするんだ。
足元の子供に目がいかないように人の間に隠して親はフード被ったり仮面したりして隠すわけだ。
小さい町だと人さらいとか多いからな」
なるほど、お婆ちゃんの知恵的なやつか。
でも、納得いかない。
「私、これでも十四なんだけど」
全員にぎょっとした顔をされた。
え?なにそれ、本気でいってる?みたいな顔やめて欲しい。
「へー、俺の二つ下かあ」
ハイガに手を引っ張られて足の間に入れられる。
「子供じゃないっての」
イラッとしながら言うがハイガはケラケラとわらうだけだった。
「でも、本当に十歳くらいに見えたから。
ごめんね、クルス」
「....向こうでも間違われたことあるので気にしてません。納得はしてないけど」
ターラさんは、可愛らしく笑って私の頭を撫でた。
....おかしい。子供だって思われている時より子供扱いされてる。
「童顔って将来化けるらしいから良かったね」
マグリスさんがクスクスと笑いながら言うが嬉しくない。
「十四歳なら危機感を持てよ」
ラットさんが呆れたようにいう。
いや、警戒してはいるんだけどなんか人にしか発揮されないみたいだ。
「此木は、みんなの妹みたいなもんだし。
その分カミウが警戒してるから大丈夫だぞ。
カミウの索的は、範囲広いしな。」
いつのまに妹にされたんだ。
不満気なのが分かったのかハイガが小さく笑った。
このぬいぐるみ状態から逃げたいんだが....
なぜ、こんな風になったのか意味不明すぎる。
いや、いいんだけど。嬉しいんだけど。
こう、なんだろう....こう、納得いかない?みたいな?
「とりあえず今日はここで寝て明日、朝方に乗り合い馬車に向かう。朝の便は埋まるの早いしな。」
「ハイガは、なんでそんなこと知ってるの?」
「なんでって、常識だろ?十五までは、普通に村で育ったしっと....風呂場無理だし、ターラ桶貰うか?」
....触れてはいけなかったか。
にしても、常識だったんだ。
知らなかった。
まぁ、確かに使うバスの時刻とか電車の時刻は知ってるのが当たり前だしそういうものか。
「んー、そんな疲れてないけど乗り合いじゃ身体拭けないだろうしそうする。」
「じゃー、桶貰ってくるから手離して」
「おう、よろしくな」
桶とタオルは半銅貨二枚らしい。
マグリスさんにお金を渡されて部屋から出る。
....子供隠してた親が子供一人で出していいのか?と思ったけどおつかいにしてしまえばなんてことないと思い直す。
「すみません、お湯ください」
階段を下りて受付のおばさんに言うと微笑ましそうに見られた。
なにこれ、辛い。
「はいよ、溢さないようにね」
こくりと頷いて桶を慎重に運ぶ。
溢したら申し訳ないし。
というか、揺らさないで運べる自信ないんだけど。
こっそりため息をついて階段を登る。
ちょっとこぼれかけて立ち止まりまた上がるを繰り返しながら部屋に向かうとカミウさんに爆笑された。
声がでないほどなにが面白かったのか分からない。
わざわざ扉を開けるために待っててくれたのは嬉しいけど....なんだろう、腹立つ。
「はぁ、面白いな」
やっと立ち直ったカミウさんに扉を開けてもらい桶をターラさんに渡した。
「ありがとうクルス。
にしても、カミウどうしたの?」
「ん?あぁ、クルスが桶を持ってくる間宿にいた客がみんなクルスみてハラハラしながら見てたからおかしくてな。しかも階段登りきったら小さく拍手してたぞ?堪えきれなかった。」
....なんだろう、この....なんともいえない苦い気持ち。
私の微妙な顔をみてハイガは、ケラケラ笑いマグリスさんは苦笑した。
「....十歳でいいんじゃないか?」
「........は?」
「すまん」
ラットさんの言葉に低い声を出したらすぐに目をそらされた。
十歳くらいの子供に対する態度なの?
小さい拍手とかハラハラ見守るとか、それ初めてのおつかいでやるやつじゃん。
私は、十四だっての。
「クルス以外部屋から出てかないの?」
ふとターラさんが呆れたように言った。
私以外の人が慌てて出ていった。
フードして出ていったけど、あればれなきゃいいけど。
なんだかなあ。
翌朝、目を擦りながら起きるともうカミウさんとラットさんは起きていた。
「おはようございます」
「おはよう」
「あぁ、ほら、タオル」
「ありがとう」
温かいタオルで顔をふいてあくびをかみ殺す。
真ん中で寝ると寿命が縮むってジンクスがあると話したらなぜか私が真ん中になるという事態になった夜を思いだしちょっとイラッとした。
「そろそろ、みんな起こすか」
カミウさんがハイガ達を揺すり起こすのをみて手慣れているなあと思った。
そういえば、私もレントゥスに朝ああして起こされたなと思い出して少し笑った。
「...此木、ちょっとこい」
ラットさんに呼ばれて側にいくと頬を触られた。
そこから解すように顔全体をマッサージされた。
このマッサージ、治癒魔法をかけながらやるのでちょっとずつ表情筋が柔らかくなって笑ったり出来るようになった。
まだ、ちょっと動かすのが辛いけど無表情よりマシかとおもっている。
「わー、気持ち良さそう。私にも出来る?」
ターラさんがキラキラした顔でラットに言った。
「それは構わないが時間あるのか?」
「あぁ....じゃー、魔洞窟都市についたらでもいい?」
「構わない」
「やった!」
ターラさんは、嬉しそうに笑って身支度をすませていく。
「ちょっと顔動く」
頬を触りながらそういうとラットさんは、少しだけ笑って良かったなと言った。
そういえば、いつから笑ってなかったっけ?
笑ってると思ってるのに顔は動かないしなんともいえないなあ。




