七日間の旅 2
「すっかりラミに気に入られたな」
ハイガがケラケラ笑いながら私の頭を撫で回す。
その手を振り払って髪を整えて別れの寂しさをまぎらわす。
「じゃー、僕たちもノートルに向かいますか」
マグリスさんがにこりと笑って荷物を背負って言う。
マグリスさんは、エルフで銀髪翠目の爽やか系イケメンだ。
何故、エルフって美形なんだろう。
すごい気になる。
つか、獣人とエルフの美形率がおかしい。
すごい劣等感を感じる班なんだけど。
あの研究所美形しか集めてなかったんじゃないかと疑うレベルだ。
「さっさと行くぞ」
こちらは、カミウさん。
虎の獣人で赤髪金目の無口な仕事人タイプ。
たけど、意外と短気だということが分かる。
何故なら狐の獣人のターラさんにたまに遊ばれているから。
ターラさんは、可愛い4美人6という絶妙な美女。金髪金目のお美しい方です。
思わず敬語になるレベルの美女。
そしてこの美形達に囲まれると劣等感が凄まじい。
目が凄い勢いで死ぬのが分かる。
美形って遠く鑑賞するのが一番だよね。
早く目に優しい人が見たい。
キラキラがうざったい。
フードを顔が見えないあたりまで下げてほしいというのは絶対言えないけどキラキラが....うっとおしいなあ。
いや、ハイガは....普通だ。
....なんかイケメンのレベルが上がりすぎて普通の境目が上がったようだ。
「この無人宿から東にまっすぐいった場所にノートルがある。
走れば半日くらいでつくだろ」
あ、駄目だわ。無理死ぬ。
まさか強化された足で走るを前提に旅組んだのか?
あの日程普通の人では無理ということだろうか。
地理が....地理が分からないッ
地図が欲しい。切実に。
「おい、私と此木は常人だからそれは無理じゃないか?」
ラットさんナイス!
私もこくこくと頷いて同意する。
「抱えるから大丈夫だ。」
「「どこが(だ)?!」」
二人で突っ込みを入れるとマグリスさんとターラさんがクスクスと小さく笑った。
因みに言えば、私とハイガ達は最初の人体実験でも会ったことはないらしい。
ハイガ達は、強化獣人人体実験。
獣人の能力を限界まで引き上げて思考能力を薬で奪って戦わせてみようという腐った実験で私は、魔眼人体実験。
魔眼を人に埋め込んで適応させてどこまでやったら死ぬかな?というイカれた実験。
言ってて吐き気がするクソったれな実験だ。
軽く言っても胃がムカムカする。
「大丈夫だって。ラットは、カミウが持って俺は此木持つから」
完全に荷物扱いだなあと思う。
いや、間違いではないが....釈然としない。
「はぁ、タイムロスを防ぐと考えて腹をくくるか」
「ラットさん...顔青いよ?」
ラットさんは、多分乗り物とか駄目なタイプだなと思いながらカミウさんに俵担ぎされていくのをみる。
「此木、あれと横抱きと背負いどれがいい?背負いの場合は荷物はー、マグリスに渡すけど?」
「....どれが楽?」
「背負い」
「じゃぁそれで。マグリスさんすみません。
ハイガの荷物お願いします。」
「お前なんで俺だけ呼び捨て?」
「....感覚?」
マグリスさんがクスクスと笑いながらハイガの荷物を肩にかける。
目が慣れたのかイケメン、美女耐性がついた。
なんか、嫌な耐性だなあ。
「よいせっと。うわぁ軽すぎて違和感」
「違和感て....ラットさんは、重いの?」
カミウさんをみるとそこそこと返された。
まぁ、大の大人を軽々俵担ぎしてるんだもんな。
百キロ以上じゃなきゃ全部そこそこになりそうだ。
「ちゃんと掴んでろよー。...行くぞ」
ダンッという音と共に景色が過ぎ去った。
....車ぐらい速度出てんじゃなかろうか。
まぁ、私は、平気だけどラットさんが....
「............」
ぐってりしてらっしゃる。
これを半日は無理なんじゃないか?
案の定一時間ほどでラットさんがギブアップ。
まぁ俵から姫さんだっこに代わった時は、目が急速に死んだけど顔色はマシになったよね。
私は、全然平気だった。
向こうで、ジェットコースターとか好きでよく乗ってたおかげだね。
「大丈夫?」
水袋を渡してラットさんの顔を覗く。
真っ青だね。
「ハイガー、ノートルまであとどのくらい?」
「あー、歩いて一日くらいだー」
「....分かったー」
一応、常人では二日と考えよう。
にしても、ラットさん大丈夫かな?
これに慣れとかないと後々響きそうなんだけど。
「ふー、もう大丈夫だ。コツは掴んだ。
揺らさないように走ってみる。」
カミウさん....多分持ち方の問題だと思うんだけど。
「ハイガに背負ってもらったら?
私は、俵担ぎでも平気だし。」
「いや、お前一応女の子なんだからやめなさい。見られたら説明がつかない」
「あぁ、後者が本音か。でも、顔色悪いしそうしようよ。」
まぁ、大の大人が背負われるってのもあれだと思うけど言わないでおこう。
「ハイガ、ラットさん頼んでいい?」
「あぁ、いいぜ。お前軽すぎて逆に怖いし助かったわ」
「いや、軽くはない。平均台のはず。」
「いや、絶対ターラのがおもぃッてーなぁ!」
「今のは、ハイガが悪い」
ラットさんをハイガに頼んで私は、大人しく俵担ぎを選んだ。
カミウさんに横抱きにしようかと言われて全力で断った。
あれは、公開処刑とかわらないと思うんだ。
「んじゃ、行くか。」
ハイガの合図で全員走り出した。
俵担ぎが思ったより辛くてびっくりした。
「わー、ハイガより早い」
バランスを取りながら頭をあげているとカミウさんが小さく笑った。
....今さらだけど私の年齢は、いくつにされているのだろうか。
明らかに子供扱いなんだが....。
景色を見ながら頭をあげていると若干疲れる。
風圧とか腹筋背筋とか。
した向くと頭に血がのぼるし....ラットさんよく頑張ったな。
私でもキツいわ。今常人だからだろうけど。
....筋肉が欲しいなあ。
流石に一時間も腹筋背筋状態は無理で横抱きにされました。
精神的公開処刑ってキツいものがあります。
「ノートル到着!じゃー、宿探すか」
ハイガが町の手前でラットさんを下ろして町に入っていく。
大きい町にしか関門はないから出入り自由だ。
悪いことすれば詰め所にいたり見回りしている兵士に捕まって御用らしい。
でも、門前に兵士くらい置くべきだと思うよ。
カミウさんにラットさんより先に下ろして貰った私は、ラットさんに同情しながらそんなことを考えた。
「まぁ、横抱きみられなくてよかったじゃない」
ターラさんが笑いを堪えながらラットさんの肩を叩いた。
カミウさんとラットさんて妙にしっくりくるから余計に可哀想だ。
一部に熱狂されそうだけど。
「とりあえず....休もう、ラットさん」
「........そうだな」
フラフラしたラットさんの手を引いてハイガが手を振る場所まで連れていった。
なにはともあれ、お疲れ様です。ラットさん。




