仲間たち 5
再び沈黙してしまった周りに首をかしげた。
「お前....言った意味わかってるのか?」
ラットさんが微妙な顔をしながら私に問う。
さっきより柔らかいその瞳を私は見つめた。
「分かってるよ。
世界を敵にまわすんでしょ?」
昨日言われたことを思い出すが私にはよくわからない。
だって、亜人だなんだって言うけどみんな喋るし言葉も通じる。
意思だってあるしなにかされたら怒るし悲しい。
人となにが違うのか私にはわからない。
「でも....歴史なんて変わるもんだよ、ラットさん」
未だに動かない表情筋にいらっとしながらもいうと彼は柔らかく笑った。
私は、ちっぽけかもしれないけどそんなことないって言えるくらい頑張ればいい。
レントゥスの約束を誓いを違うことがないように、私は全力で頑張ろう。
「世界を引っくり返してみたくない?」
彼等の瞳に炎が点る(ともる)。
中学生の私に出来ることは限られてる。
ならば、知識を力を手に入れよう。
この世界を知ろう。
足元をすくわれないように。
この国を知ろう。
正面から否定するために。
この状況をそんなことがあったんだって教科書の中でしか語られない存在にしよう。
あの平和な国を光景をこの場所から作り上げよう。
「....さてと。じゃー、ご飯食べよう」
そういうと拍子抜けしたような彼らがキョトンとした。
ラットさんがため息をついてラミが苦笑いを浮かべる。
だって、よく考えたら私達逃亡中だし。
腹が減ってはなんとやら。
ご飯を食べましょう。
戦は、向こうからやってくるさ。
それまで、牙を研ごう。
鋭く深く食い込むように。
美しく綺麗に見惚れるくらい磨こう。
敵が怯むほど美しく鮮やかに殺してやろう。
「お前面白いな」
ご飯を食べはじめていると灰色の青年がクスリと笑って言った。
なにが面白いのかさっぱりわからない。
「俺は、ハイガだ。お前は、クノギ?だったか」
昨日は、気付かなかったけどこの人にも耳と尻尾があった。
大きい耳と尻尾は、ちょっと固そうだ。触りたい。
「んー、此木って発音なんだけど難しいならクルスでいいよ。私の名字来栖野だから」
ラットさんがピタリと動きを止めて私をマジマジとみた。
なに?その驚いた顔。
「来栖野此木?此木・来栖野?どっちになる?」
「此木・クルスノだな。お前貴族なのか?」
あー、成る程。こっちじゃそうなるんだ。
てか、何気に発音できてる。凄いな。
「いや、向こうだとみんな名字あるからクセで。まぁ呼びやすい方でいいよ。」
「あー、落ち人だからか。此木って呼ぶから大丈夫だ。他のやつは多分クルスになると思うが。発音難しいし」
ハイガは、思案顔をしながらそう言った。
まぁ、独特な言い回しだからなあ日本語って。
「....俺らと一蓮托生になっちまうがいいのか?」
ふと、雰囲気をかえてハイガは鋭い目で私を射抜いた。
心配性なのかラットさんみたいに責任感が強いのか....どちらにせよ、優しい人だ。
「いいよ。むしろ、巻き込むのは私だから大丈夫。」
この中で一番弱いのは私だ。
早めに召喚方法調べないと。
「巻き込むって....まぁいいや。
お前がレントゥスに見せた夢を俺達にも見せてくれよ。
その為に命、使ってやる。」
「レントゥスを知ってるの?」
ハイガは、少し顔をしかめてから言った。
「ちゃんと、連れてきた。後で埋葬するつもりだ。
この計画もレントゥスとそこの治癒師が考えたらしいしな。」
そうか、と納得しつつもやっぱり悲しい。
それを消すために私の状況をまとめなきゃいけない。
「....私、この中で一番弱い。」
左目を撫でながらいうとハイガもラミも首をかしげた。
「....魔眼の代償に私は、強化人間としての全てを失った」




