↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

第二話 好き勝手生きろと言っているんだよ

ヒロインの女の子が出てきます!

 そんな風に恨みを買ったり恩を売ったりしながら、暁峰は充実した日々を過ごしていた。


 しかし、いい加減側近の「帰れ」と言う小言がうるさくなったので、暁峰は久しぶりに家の門を叩く。

 

 仕事では常に周りに人がいる環境なので、家でくらい静かに落ち着きたくて、敷地内に部下は入れないことにしていたのだった。


「ただいまー」


 侍女くらいしかいない家に帰る。


「おかえりなさいませ、旦那様」


 侍女には存在感を消して静かにしていろと言っているので、「おかえり」と返す者はいないはずだった。


「……君、だれ?」


 彼の家にいたのは、肩につくくらいのダークブラウンの髪に、左右に緩いお団子の着いた髪型の女の子だった。

 目はくりくりとして非常に可愛らしい。


「えっと、雨にでも降られて雨宿りしてるのかな?止んだからもうお帰り、お嬢ちゃん」


「この度、暁峰様の妻となりました顧 桃花(グー タオホワ)と申します」


「……は?」


 上等なふわりとしたドレス風の中華服を着ている。

 髪飾りも高価なもの。

 これは……


「君、顧家の娘か!」


 この街一番の名家のお嬢様じゃないか!


「何で君ここにいるの?」


「暁峰様の叔父様と我が家の取り決めで婚約したので……」


 原來係咁(そういうことか!)


 暁峰は理解した。

 しかし納得はできない。こんな一方的に物のように送りつけてくるなど……


「何度も暁峰様に連絡はいっていたかと思いますが……」


 また結婚話をされると思って、叔父からの連絡には全て出なかった。

 それがこんなことになろうとは。


「そ……それで?君は何日もここで待っていたの?」

「はい。一週間ほど」


 マジか……

 暁峰は頭を抱えた。一週間もここにいたら、今更追い返せない。

 だが、一縷の望みを賭けて彼は彼女に言った。


「えーと……とりあえずそちらさんの当主とお話ししたいから、一旦帰ってもらうことは……」

「……それは……困ります。私はあの家に居場所がありませんので……」

「……」


 何となく事情を理解した。

 

 こんな年端もいかない若い子を会ったこともない男のところへ送りつけてくる父親だ。

 厄介払いだろう。


「俺は全然この家に帰って来ないから1人になってしまうけど、それでも良ければ暫くここにいていいよ」

「本当ですか。ありがとうございます」


 ほっとしたような笑み。

 初めて彼女の笑みを見て、何だか心がモヤつく。


「えーと、よろしくね。桃花」


 暁峰は逃げるように自室へ引っ込んだ。


 金勘定をして心を落ち着けたあと、叔父に電話をかける。


「叔父さん?よくも勝手をしてくれたねェ?」

 低い声で暁峰は叔父に怒りをぶつける。

「何度電話しても出なかっただろう。会おうとそちらへも出向いたぞ!」

「だからと言って、娘を勝手に送りつけるな!」

「それはあちらさんが勝手したんだ!え?来ちゃったの?!」

「そうだよ!!!」


 これには叔父も大混乱らしかった。

 婚約を勧める方向で契約書にサインしてしまったらしいが、結婚に同意したわけではなく、詳しい話は暁峰を交えてと話していたらしい。


 婚約詐欺だ!まさか自分が詐欺にあうとは!!


「叔父さんが安易に契約書にサインしたせいだ!」

「そ、それは悪かったが……彼女が可哀想で。明らかに居場所がなさそうだったし、虐められていたみたいだし」


 言い争っても仕方がない。

 先方へ抗議へ行こうと思ったが、今更断るなんて言ったら揉めるだろう。

 時間の無駄だ。こっちはマネーゲームで忙しいのだ。


「分かった。女の子1人くらい養う金はある。だがあんな小さな子、妻になんてできない」

「彼女はあぁ見えて18歳だ。年齢については問題ない」

「……は?」


 18?!?

 14歳くらいにしか見えなかった。


「マジか……」


 ***


 困り果てて仕方なく家計簿をつけていると、トントン、と戸を叩く音がして開ける。


「夜食ならいらない。今日は早く寝る——」


 ちょこん。と女の子が立っていた。桃花だった。


「……どうしたの?」

「旦那様にお休みの挨拶を……」

「そういうのいらないから」

「そうだったのですか。こうしろと教わりまして。すみません」

 

「えーと、君の家はお上品かもしれないけど、俺の家は商家なんだ。だからそういう礼儀正しいのは必要ない。好きな時に起きればいいし、寝れば良い。飯も風呂も俺の意見は必要ない」

 

「え……」

 

「俺は商会に寝泊まりする事が多いから、適当に好きなことをしてくれて良いよ。……あァ、領収書だけは貰っておいて」

 

 きょとんとする桃花に暁峰は分かっているんだか不安になって、わかりやすく言ってやることにした。


「好き勝手自由に生きろと言っているんだよ。分かった?おやすみ」


 それでもぼんやりしている桃花に不安になったが、話すこともないのでドアを閉めた。


「俺、変なこと言ってないよな?」

暁峰は毎回何かしら桃花ちゃんに振り回されながら話が進みます。


グー 桃花タオホワ:名家のお嬢様だが、妾の子として外聞が悪いので半ば嫌がらせで怪しい商売をしている暁峰と婚約させられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。