石化を解く方法
「なんだコレは……」
口から出た血に、思わず声が出てしまう。
「ああ、ベロニカ……可哀想に」
隣で見ていた母親が涙を流した。
「お嬢様。今日はもうお休みになってください」
メイドの一人が俺の手を取って、部屋へと導いた。
母親もメイドも、この血の原因を知っている……咄嗟にそう思った。
「俺……私ってなにかの病気だったっけ?」
「……」
メイドは口を塞いで涙ぐんでしまった。
「大丈夫ですよお嬢様、王様がきっとなんとかしてくれます。そのために、あのドラゴンをも容易く討伐することができる精鋭達を集め、レアストーンを使って大量の武具を作っているのですから……」
もう一人のメイドが、険しい顔で俺を励ました。
その後は何を聞いても「大丈夫」「きっと王様がなんとかしてくれる」と言って詳細を聞き出せなかった。
精鋭部隊とレアストーン収集に関係があるのか?
じゃあ、病気じゃない?
自分の体に起こっていることが分からないとか、不安でしかない。
けど、大丈夫だと言われているし、それよりも今はアルス達を助けたい。
まずは、あの時に潜ったS級ダンジョンを探さないと。
手がかりは、最初に転生した街の情景。飲み屋と宿屋。
そしてダンジョンまでの道筋。
「お父様、お願いがあるのですが」
俺は再び王様にワガママを言う。
「いいぞベロニカ、なんでも言いなさい」
王様はめちゃくちゃ嬉しそうな顔で応じてくれた。
それに甘えて、旅に出たいと言った。
アルス達に繋がる手がかりを自分の目で確認するのが早いと思ったからだ。
「……そうか」
ぶっちゃけ許可が出るとは思っていない。
大事な娘を城の外に出すなんてもってのほかだろう。
だが、それだけの熱意を見せておけば、なんの接点もないアルス達を捜索するために協力してくれると算段したからだ。
王様の人望があれば、魔法や人脈で探し出すことは容易だろう。
「ならばワシも同行しよう。むろん王妃もじゃな」
「まぁ、楽しみね」
隣で聞いていた母親が涙を流しながら頷いた。
「え? いや、そういうことじゃなくて」
なんだか、旅行にでも行く感じになっている気がする。
「嬉しいぞベロニカ。どこへ行きたい? どこへでも連れて行くぞ」
ダメだ。完全に家族旅行気分になっている。
「S級ダンジョンです。助けたい人達がいる」
回りくどいことを言っていたら、もっとややこしくなる気がして正直に答えた。
これで、反対されたらアルスたちの捜索をお願いしよう。
「なるほど、ダンジョンか。いいぞ、ではまた精鋭部隊を集結させよう。善は急げじゃ。ワシもすぐに支度をしよう」
「いいですね。久しぶりに腕が鳴ります」
どうしよう、王様も王妃も行く気満々だ。それに、なんだこの自信、二人って実はめっちゃ強いとか?
それだったら頼もしいけど……。
「それと、石化を解く方法って知ってます?」
これが一番重要だ。助けに行っても石化を解けないと意味が無い。
「石化……それはまたやっかいじゃな」
「確か、親族の血を使った回復魔法でなければ治らないはず」
眉間に皺を寄せる王様と王妃。
親族の血。
確かにやっかいな条件だ。
だが、今の俺には何の問題もない。




