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Re:winDriv:eR《リワインドライバー》~人類転生計画~  作者: 長月 鳥


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15/23

ターゲット

 ……ここは。

 遠い記憶のように思える景色。

 信号機の人工的なライトが目に焼き付く感覚。

 また、戻ったのか? 地球に。


 じゃあ、異世界を救ったということ?

 そんな、まさか……それに最後に聞いた声。

 トーチャーと名乗った声の主は、あの転生した体の持ち主?

 それとも、俺の願望が生み出した、ただの幻聴?


 どちらにしても、救われない。

 あの人はノエルに会うことも叶わず。一人囚われの身。

 ダメだ。そんなのは絶対に。

 二人で協力してノエルの元に戻ると約束したのに。


「あれ? 輪祢くんじゃん。おーい」

 無理矢理現実に引き戻すような黄色い声が響いた。

 未来……。

 そうだ、戻ったからには、まず未来を助けないと。


 歩行者用の信号は赤だったが、俺は構わず駆け出した。

 あのトラックが来るまでの間、車は通らないことを知っているから。


「あ、あぶないよ」

 未来の制止も聞かず。

「来てっ」そう言って、未来の腕を掴んで道路から離れ、すぐ横の公園に入った。

 小さなブランコと滑り台が一つずつ、そして砂場があるだけの小さな公園。

「痛いっ、ちょっと輪祢くん。どうしたの?」

「悪い。ちょっと話がしたくて」

 本当のことを言っても、きっと信じてもらえない。

 とにかく道路から離れることができればいい。ここには街路樹もフェンスもある。

 車は入ってこれない。


「わっ、分かったから。放してくれる?」

「ご、ごめん。痛かった?」

 以前の俺だったら絶対にやらない強引なやり方をしてしまった。

「いいけどさ、話って何?」

「あ、あの……元気だった?」

 助けることに夢中で、なんにも考えていなかった。


「えっ、うん、元気だよ」

 未来は急に俯いた。なんだかよそよそしいな。

 でも、会ったのは数年ぶりなんだから当然か。俺だけが3回目だなんて言えない。

「なんかさ、輪祢くん。変わった?」

「そう、かな?」

 伏し目がちな姿勢から見上げられて、ドキリとした。

「4、5年ぶりだもんね。そりゃ変わるか」

 強ばっていた顔に笑顔が戻った。

 この前見た、悲痛な涙とは全然違う。

 この笑顔を守ることができて、本当に良かった。


「未来も今じゃ有名人だもんな。変わったよ」

 資源エネルギーの概念を変えるための企業を立ち上げたメンバーの一人。

 その若さと容姿で広告塔としてテレビや動画でひっぱりだこだ。

「まぁね、悪目立ちしちゃってるかな」

 この国の未来を担う人材だ……そんな人がなぜ命を狙われる?

 いや、出る杭は打たれるとも言うし。

 もしかしたら、ストーカーなんてことも。


「あまり一人で出歩かない方がいいんじゃないか……そう、言いたかったんだ」

 連れ出した理由を思いつき、最近は物騒だからと付け加えた。

「ふ~ん、心配してくれるんだ。ねぇ、時間あるならもうちょっと話そうよ、そこにベンチあるしさ。仕事はしてるの? まさか引きこもりとかじゃないよね? あ、良い匂いがする。それおでん? いいなぁ美味しそう。って、ねだっているわけじゃないからね」

 未来は楽しそうに喋りだした。

 こうなるとなかなか止まらない。それは昔っから変わらないな。


 ばあちゃんには、あとでまた買って帰ろうと思って、おでんの蓋を開けた。

 割り箸もちょうど二つある。

 こんな場所で、俺なんかとおでんをつついていていいのか?

 そう尋ねると「楽しいよ」と、笑った。


 なんだか、心が温まる。

 異世界に行ったことが夢だったかのように感じてしまう。


 でも、やっぱり、心のどこかでトゲのようなものが引っかかっている気もする。

 トーチャー、ノエル……そして、セシルたちのこと。

 急に胸が苦しくなった。


「ひっ……」

 不意に未来の声にならない悲鳴が聞こえた。

「り、輪祢くん……血、血が」

 血? 自分の胸の辺りが赤く濡れているのが分かった。

 痛みは、遅れてやってきた。

 視界の端で、胸元から赤く濡れた切っ先が突き出す。

「キャー」

 それがナイフだと分かった瞬間、未来が大きな悲鳴を上げた。


「ターゲット変更だそうだ」

 その声は俺の後ろから聞こえた。

 振り返ると、フードを深くかぶった奴が立っていた。

 未来を狙ったトラックに乗っていた奴と同じ人物だった。

 

 ターゲット変更?

 一体、なんのことだ。

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