第20話 糞野郎ども
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「なんで人って、こんなにクズばかりなんだろうな」
親の愛情なんて。人の優しさなんて。友達なんて。いらない。十分に与えてもらえなかった。そうやって道を間違えた少年がいる。
幼い頃から翔太は腐っていた。
親はネグレクトで、男遊び、女遊び、をするのは日常で。どうして俺を産んだのかと。
来る日も来る日も翔太は親を憎んだ。
不幸中の幸いと取るべきかどうかは怪しいのだが、生憎と実家は金持ちで、別に衣食住に困らなかったのが幼い翔太には救いになった。
まあ、責任感のないビッチとヤリチンが交われば、糞餓鬼が生まれるのは当たり前だが、《《翔太だけ》》は、救われる運命はあったはずだ。
それなのに、翔太は道を間違えてしまった。
小学校に入学してからの翔太は友達の一人も作れず、クラスでは浮いていた。
なんのために生きているのか。
なんのために俺を産んだのか、一体何が悪かったのかと心に靄がかかり始めたのはこの頃だったからだろうか?
授業もしっかりと受けていたあの頃。
それでも見てもくれなかったあの親。
何が努力だ。何が勉強だと。翔太がひねくれだしたのはこれよりもう少し後のことだっただろうか?
人と人との輪に入れない。
そんな俺にも手を差し伸べてくれた人がいたのだが。
「……ねぇ、翔太くん。いつも一人だよね?放課後、一緒に遊ぼうよ」
あの日話しかけてくれた女の子は今も中学校で俺のような日陰者に話しかけているのだろうか。
今思えばあの日あの手を取っていたのなら、こんな人生にはならなかったんだろうな。
その手を振りほどいてからはその子も俺から距離をとるようになったのだ。
必死に学校に行って、必死に自分を変えようとしても、それをみてくれる肝心な親がいない。
頑張っていたって無駄じゃあないか。
ならばいっそ……。
◇◆◇
そんな日々のストレスを同級生にぶつけるようになったのは小5の夏の時期からだ。
「おい、翔太ぁ……いつも一人でオドオドしやがって気持ちわりぃんだよッ」
拳が俺の頬を砕く勢いであいつは殴りやがった。口の中は血が滲み、腑が沸々と煮えくり返るのが良く分かった。
それと同時に、この痛みが俺に新たな感情を芽生えさせた。
(なんて気持ちいんだ、俺も力でねじ伏せられれば全てが思い通りにいくんだろうなあ)
同級生の早坂春馬はクラスでは暴君なんて言われていた。
いつも俺みたいな弱気な奴を片っ端から虐めていたから、あいつは調子に乗っていたんだ。
俺がこいつをボコボコにぶちのめしたのなら、皆が俺をヒーローとして見てくれるようになるのか?
「あはは……!」
そう思うと俺はとても愉快になった。笑いながらでも春馬の顔面を何度も殴りつけた。
俺はあいつを泣きじゃくるまでぶちのめしてやったよ笑
ああいう野郎は俺が倒してやるって。
皆は救われるって。
でも、周りは俺から遠ざかっていく。
どうしてだろうか。
なぜ、俺は周りの奴らをねじ伏せてやろうと思ったのだろうか?いつの間にか暴力を救済だと勘違いして、弱い奴らを虐めて初めて、こうして俺は「翔太」になったのか。
糞野郎は俺だったのか?
俺は何を求めていたんだ?
俺は何がしたいんだ?
人に恐怖されることが俺の生き甲斐になって初めて生きた心地がした。俺は恐怖を与えることで必要とされているのではないかなんて思い始めるようになった。
来る日も来る日もクラスのあいつらを虐めてやって。いつしか俺がクラスで一番になって。
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「一人でどうしたの?」
「真央、この子怪我してるから家から救急箱取ってくる」
そして優越感に浸っていた卒業前のあの日に、陸兄と真央姉に出会って、あの二人の姿を見始めてから、俺はさらに変わっていった。




