出会い
近くに公園のあるマンションに引っ越してから
少しずつ僕は自分を取り戻していった
でも
あの日の自分を
何年経っても許すことができず
あまり人と関わらないようにしていた
近所の親切な年配の女性は
そんな僕を心配してくれた
たまたまスーパーからの帰り道
あまりにも重そうに荷物を抱えていたので
代わりに持ってあげたことがあった
そこから
たまに会った時に
挨拶をする仲になったのだが…
僕があまり人付き合いをしていないことを知ると
「若いうちにもっといろいろ楽しまなきゃ」
そう言ってニコリと笑った
それからしばらくしてのことだ
スーパーの袋を抱えて歩いていると
後ろから呼び止める声がした
女性
「あ、高瀬くん!ちょっと待って
話があるの」
高瀬
「あぁこんにちは。少しずつ暑くなってきましたね」
女性
「ねー、最近は暑さが違うから参るわね
あ…でね、前に高瀬くん彼女いないって言ってたでしょ?
それでね…ちょっと紹介したい人いるんだけど
会ってみない?」
年配の女性は
唐突にそう言った
僕に…恋愛ができる自信はなかった
そんな気持ちで紹介してもらうのは
失礼だとわかってもいた
でも
その女性の笑顔を見ていると
何か変わるかもしれない
そういう気にもなって…
紹介してもらうことにした
そこで出会ったのが
水野ゆう…純平の妹だ
初めていったあのレストランで
彼女の名前を聞いた瞬間
純平の妹だと僕にはわかった
僕はすごく動揺した
相手はもちろん僕が純平の同僚だったことは知らないだろう
純平は妹を溺愛していた
そんな兄を亡くした妹は
どれほどの痛みを背負っているだろう
僕には想像もできなかった
その気持ちを考えると
僕が同僚であることは伏せた方がいい気がした




