抜け殻
純平がいなくなって
僕は抜け殻のようになってしまった
仕事にもかろうじて行っていたという感じで…
どんな毎日を過ごしていたかを
今でも思い出すことができない
ただ…
自分を許せなかったことだけは覚えている
見るに見かねた先輩が
引越しをしたらどうかと勧めてきた
それすらどうでもよく感じたが
このままここにいてもきっと
ただ純平の影を追い続けるだけだと
他の人にも言われ…
引っ越すことにした
「夕凪」にはいかなかった
行く勇気がなかった
あそこにもう純平がいないということを
目の当たりにするのが怖すぎたからだ
。
。
。
純平の一周忌を迎える少し前のことだった
一本の電話が鳴った
高瀬
「はい…」
店長
「元気か?おれだ、夕凪の…」
高瀬
「店長…ご無沙汰してます…」
店長
「もう直ぐ…一周忌だな…
なあ、晴人
近々店に来ないか?
晴人が入れてたボトル…一緒に飲んでくれ」
高瀬
「……あいつの…ボトル…」
それを聞いた瞬間、僕の目から涙が溢れていた
店長
「このボトルを見るたび
俺も胸が締め付けられそうになる。
でも、晴人。
もしあいつが今こんな俺たちをみたら
なんていうと思うか?
後悔はあると思う
なかったことにはできないよな
でも…いつまでそこにい続けるのも違う
だから命日の日にあいつのボトルを一緒に飲もう
そして一緒に純平の話をしないか?
純平を過去の人にせずに…な
今すぐ返事をしなくてもいい
よかったら店に来てくれ…
待ってるからな」
高瀬はただ黙って聞いていた…
純平の死に向き合えない自分の弱さが情けなかった…
ただただ涙が止まらなかった
あの屈託のない笑顔…
「晴人!しっかりしろよ」
そういって純平に背中を叩かれたような気がした
…当日
僕の足は「夕凪」に向かっていた
それから毎年
命日の日には「夕凪」で純平を囲んで
なじみの客たちと飲むのが恒例になった




