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「頼る力 託す力」


レグルスは一人で荒野を歩いていた。


市民達の言葉を聞いてから数日。


心は少しだけ軽くなっていた。


だが問題は何一つ解決していない。


上位存在はいる。


世界のリセットもある。


自分一人では勝てない。


それだけは変わらなかった。


レグルスは立ち止まる。


目の前には巨大なクレーターがあった。


かつて怪物と戦った跡地。


今では誰も近付かない場所。


レグルスは静かに目を閉じる。


そして能力を使った。


繋げる。


自分の意識と。


無限回転を。


空気が震える。


大地が揺れる。


レグルスの意識は深い闇へ沈んでいく。


そこには何も無かった。


光も無い。


音も無い。


生命も無い。


ただ回転だけが存在していた。


終わることのない回転。


永遠に続く回転。


無限回転そのものだった。


レグルスはその光景を見つめる。


すると不思議な感覚がした。


意識は無い。


人格も無い。


会話もできない。


だが。


意思だけは存在していた。


無限回転はレグルスを見ていた。


正確には見ていない。


それでも感じた。


意思がある。


長い年月を超えて残った何かが。


レグルスへ向けられていた。


そして。


回転が近付いてくる。


レグルスは動かない。


逃げない。


回転はさらに近付く。


やがてレグルスの身体へ触れた。


その瞬間。


膨大な情報が流れ込む。


レグルスは目を見開いた。


今まで知らなかった真実。


無限回転の正体。


それは能力ではなかった。


意思だった。


力を託す存在だった。


継承され続ける存在だった。


受け継がれる度に弱くなる。


少しずつ劣化する。


それでも消えない。


意思だけは残る。


そして継承者の心へ宿る。


レグルスはさらに知る。


継承された者の意思は無限回転へ溶けていく。


飲み込まれる。


消えていく。


だから危険だった。


だが。


同時に条件も存在した。


無限回転を継承できる者。


それは無限の精神を持つ者だけ。


途中で壊れる人間は受け継げない。


発現することすらできない。


だから今まで続いていた。


レグルスは静かに息を吐く。


理解した。


ルカが見せたかったものを。


頼るということを。


これは借りる力ではない。


託される力だ。


その時。


無限回転がレグルスへ流れ込む。


止まらない。


大地が割れる。


空が震える。


星々が揺れる。


レグルスは歯を食いしばる。


身体が耐えられない。


精神も耐えられない。


それでも離さない。


絶対に。


そして。


全てが静かになった。


レグルスは目を開く。


世界が違って見えた。


風の流れ。


重力。


生命。


全てが見える。


そして。


身体の奥で回転する何かを感じた。


無限回転だった。


だがレグルスは理解している。


これを使えば代償がある。


いつか自分も飲み込まれる。


永遠の回転の一部になる。


それでも。


レグルスは空を見上げた。


迷いは無かった。


上位存在と戦う。


そのためなら。


この身がどうなっても構わなかった。

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