表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/151

「星を滅ぼす力」


空が黒く染まっていた。


山脈は崩れ続けている。


地面には無数の亀裂が走り、遥か彼方まで続いていた。


王都の人々も異変に気付いていた。


戦場から離れているはずなのに空気が重い。


呼吸が苦しい。


まるで世界そのものが悲鳴を上げているようだった。


ラモンは黒い光を見上げる。


巨大時計の中心。


そこに集まるエネルギーは今までとは次元が違った。


本能が告げている。


あれは危険だと。


受ければ終わる。


そんなレベルではない。


星そのものが消える。


そう理解できてしまった。


「ようやく思い出した」


ジークテンポラーが呟く。


その声には怒りも憎しみもなかった。


ただ虚しさだけがあった。


「昔もこうだった」


巨大時計が回る。


黒い光が膨れ上がる。


「守ろうとする者がいた」


「立ち向かう者もいた」


「だが最後には全て消えた」


ラモンは黙って聞いていた。


ジークテンポラーは笑う。


だがその笑みはどこか壊れていた。


「時間は残酷だ」


「夢も希望も愛も」


「最後には消える」


「だから私は時間を支配することにした」


黒い光がさらに大きくなる。


周囲の山々が崩壊する。


岩石が砂になり。


砂が塵になり。


塵が消滅していく。


時間そのものが消されているのだ。


ラモンは拳を握る。


その言葉は少しだけ理解できた。


確かに消える。


命も。


夢も。


幸せな時間も。


全部いつか終わる。


だが。


「だから何だ」


ジークテンポラーの目が細くなる。


ラモンは前へ出た。


傷だらけの身体で。


血を流しながら。


それでも歩く。


「消えるから意味があるんだろ」


「終わるから大事なんだろ」


黒い光が唸る。


ジークテンポラーは黙っていた。


ラモンは続ける。


「俺は怖い」


「死ぬのも怖い」


「負けるのも怖い」


「でも」


一歩踏み出す。


「だから守りたいんだ」


その瞬間だった。


身体の奥で回転が強くなる。


今までで一番。


まるで心そのものが回っているようだった。


ジークテンポラーは顔をしかめる。


気に入らない。


その言葉が。


その目が。


昔の誰かを思い出させる。


だから終わらせる。


今度こそ。


完全に。


巨大時計の針が動いた。


黒い光が放たれる。


世界が消える。


誰もがそう思った。


レジェンドですら翼を広げる。


もしもの時は介入するつもりだった。


だが。


その時だった。


ラモンが走る。


真っ直ぐ。


黒い光へ向かって。


自殺行為だった。


誰が見てもそうだった。


だがラモンは止まらない。


前へ。


前へ。


ただ前へ。


その身体から微かな黄金の粒子が溢れ始める。


黒い光が迫る。


あと数秒。


ぶつかる。


その瞬間。


ラモンは初めて見た。


身体の奥にある回転を。


心のさらに奥。


魂の中心。


そこにあった。


小さな光。


だが無限に回り続ける光。


そしてラモンは理解する。


なぜ自分が時間停止の中で動けたのか。


なぜ老化から戻れたのか。


なぜ攻撃が逸れたのか。


その答えに。


ようやく辿り着いた。


そして。


黒い光とラモンが激突した。


次の瞬間。


世界から音が消えた。

面白ければブックマーク、評価お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ