「ロイス・レグス」
僕の家は由緒正しい家系、レグス家だ。二千年以上前、ゼルクロノスという存在を倒し、別宇宙から現れたゼルクロノスの兵器とも戦い、回転そのものとなったルクスが作った世界へ入り、さらにゼルクロノスと和解し、この世界を滅ぼそうとした上位人類を倒し、最後には別宇宙へ渡って別宇宙のゼルクロノスまで倒した英雄、レグルス。その伝説を受け継ぐ家系。それが僕の家だ。僕はその跡取りとして生まれた。だから毎日剣術や礼儀、知識を学んできた。レグス家の名に恥じない人間になるために。
月に一度、ルス家との会談がある。ルス家は英雄ルクスの名を受け継ぐ家系。昔から交流が続いている。
だけど僕にとって会談なんてどうでもよかった。
楽しみなのは一人だけ。
マリア。
年下で、放っておけなくて、すぐ無茶をする。
妹みたいな存在だった。
「ロイスお兄ちゃん!」
今日も元気よく走ってきた。
「転ぶよ。」
「転ばないもん!」
そう言いながら結局つまずく。
僕は慌てて支えた。
「ほら。」
「えへへ。」
「ちゃんと前を見ないと。」
「見てるもん。」
そんなやり取りを何度も繰り返してきた。
会談が始まると、大人達は難しい話を始めた。
僕とマリアは別の机で食事を食べる。
「このお肉おいしい!」
「そんなに急いで食べると喉に詰まるよ。」
「大丈夫!」
「ほら、お茶。」
「ありがとう!」
無邪気に笑うマリアを見ていると自然と笑顔になれた。
ずっとこんな日々が続くと思っていた。
その時だった。
ゴゴゴゴゴゴ……。
屋敷が大きく揺れる。
「何だ!?」
次の瞬間。
天井を突き破って巨大な隕石が落下した。
轟音。
爆炎。
屋敷が一瞬で崩れていく。
僕は吹き飛ばされ、壁へ叩き付けられた。
「ぐっ……。」
辺りは真っ赤だった。
炎が燃え広がる。
悲鳴が聞こえる。
立ち上がった僕の目に飛び込んできたのは、血を流して倒れる大人達だった。
「父さん……。」
返事はない。
「母さん……。」
動かない。
僕は拳を握った。
その先に隕石が転がっていた。
全部こいつのせいだ。
怒りだけが込み上げる。
「うおおおおおおっ!!」
僕は隕石を思い切り殴った。
眩しい光が溢れる。
身体中を凄まじい衝撃が駆け抜けた。
「なっ……!?」
身体が宙へ浮く。
景色が一瞬で遠ざかる。
空を飛ぶように吹き飛ばされていく。
森を越え、山を越え、どこまでも。
そして最後に大木へ頭を強くぶつけた。
ゴンッ。
視界が真っ白になる。
意識が途切れた。
その衝撃で。
ロイスという少年の人格は、静かに切り替わった。
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