「理由」
大柄な男は苦しそうに息を整えながらサナージュを睨んだ。
「理由を聞いてどうする。」
「俺達は敵だ。」
「敵なら倒せばいいだろ。」
サナージュは首を横に振った。
「それじゃ何も変わらない。」
「だから聞いてる。」
男はしばらく黙っていた。
やがて小さく笑う。
「変なガキだ。」
ささがコレクションズを取り出した。
「痛みを少し和らげるわ。」
淡い光が敵達を包む。
「……楽になった。」
「敵なのに?」
マリアは腕を組んだ。
「私達は戦いを望んでないもの。」
ロイスも頷く。
「殺すつもりなら、とっくに終わってる。」
大柄な男は四人を順番に見た。
そして静かに口を開く。
「俺達は血の繋がった家族じゃない。」
「え?」
「全員、弱い能力しか持ってなかったり、体に障害があったり、家族に捨てられたりした奴らだ。」
「居場所なんてどこにもなかった。」
「だから集まった。」
後ろにいた仲間達も俯く。
「俺達は弱い。」
「だから舐められる。」
「奪われる。」
「殺される。」
「だから誰よりも強いって思わせる必要があった。」
「怖がらせれば襲われない。」
「だから村を燃やした。」
サナージュは静かに聞いていた。
怒ることはしなかった。
責めることもしなかった。
男の言葉には嘘がなかった。
「そうか。」
サナージュはそう言った。
「怖かったんだな。」
男は目を見開く。
「……。」
「だから先に恐怖を与える側になった。」
男は何も言えなかった。
図星だった。
サナージュは一歩近付く。
「でも、それじゃ何も終わらない。」
「また別の誰かがお前達を怖がる。」
「また戦いになる。」
男は拳を握る。
「じゃあどうすればいい!」
「俺達はどう生きればいいんだ!」
サナージュは迷わず答えた。
「一緒に生きればいい。」
「……は?」
「この集落の人達と。」
「敵じゃなく仲間として。」
男は苦笑する。
「そんな都合のいい話……。」
その時、村長が前へ出た。
「事情は聞かせてもらった。」
男達は驚く。
「村長……。」
「集落を燃やしたことは許せない。」
「だからまずは償ってもらう。」
男達は俯いた。
「……ああ。」
「壊した家を直せ。」
「畑を元に戻せ。」
「それが終われば歓迎しよう。」
男は思わず顔を上げた。
「歓迎……する?」
「もちろん簡単に信用はしない。」
「だが償う気があるなら受け入れる。」
住民達も頷く。
「手伝ってくれるなら文句はない。」
「最初から話してくれれば良かったんだ。」
「この集落じゃ能力で人を見下したりしない。」
大柄な男の目から涙がこぼれた。
「なんで……。」
「なんでこんな俺達を……。」
マリアは静かに微笑んだ。
「私達は戦いを終わらせたい。」
ロイスも笑う。
「家族が増えるのは悪くない。」
サナージュも頷いた。
「和解はできる。」
「俺はそう信じてる。」
男は涙を拭った。
「……ありがとう。」
「俺達、やり直してみる。」
その言葉を聞き、サナージュは静かに笑った。
少しだけ。
未来が変わり始めている。
そう感じた。
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