「ビッグファミリー」
サナージュ達は集落で数日を過ごした。住民達は皆親切だった。食事も寝床も無償で用意してくれた。サナージュ達も畑仕事や薪割りを手伝い、少しずつ集落に溶け込んでいった。
「本当にいい人達ばかりね。」
マリアが笑う。
「そうだな。」
サナージュも頷いた。
未来では知らなかった景色だった。
こんな平和な場所が存在していたことさえ知らなかった。
ある日、村長が四人を呼び出した。
「実は頼みがある。」
「何だ?」
「この集落は時々襲われる。」
「バトルロワイヤル参加者達にな。」
ロイスが腕を組む。
「奪うためか。」
「そうだ。」
「住む場所や食料、コレクションズを狙ってくる。」
村長は苦しそうな顔をした。
「君達ほど強い者はいない。」
「力を貸してほしい。」
サナージュは迷わなかった。
「分かった。」
「でも俺達は殺さない。」
「話し合いで終わらせる。」
村長は静かに頷いた。
「それでも構わない。」
それから三日後。
見張りが大声を上げた。
「敵襲だ!!」
鐘が鳴る。
住民達が一斉に避難を始める。
サナージュ達も外へ飛び出した。
結界が大きく揺れている。
「コレクションズだ!」
ささが叫ぶ。
バキィィン!!
結界が破壊された。
二十五人ほどの集団が堂々と歩いて入ってくる。
先頭には大柄な男が立っていた。
「俺達はビッグファミリー。」
「今日からこの集落は俺達のものだ。」
その瞬間、炎が放たれた。
家が燃える。
続いて大量の水が流れ込み、畑が水浸しになった。
住民達は悲鳴を上げる。
「やめろ!!」
サナージュが叫ぶ。
大柄な男は笑った。
「これが俺達のやり方だ。」
「逆らう奴には恐怖を教える。」
サナージュは静かに前へ出る。
ドクン。
能力が発動する。
炎の球。
水の槍。
石の弾丸。
全てがサナージュにぶつかる。
ガキンッ!
ガキンッ!
ガキンッ!
全て弾かれた。
敵達が驚く。
「なんだあいつ!?」
サナージュは空へ向かって指を構えた。
そして軽く弾く。
パチン。
次の瞬間。
二十五人全員の身体に激痛が走った。
「ぐああああ!!」
「痛ぇぇぇ!!」
「何だこれは!!」
全員がその場に倒れ込む。
サナージュはゆっくり近付いた。
「話をしよう。」
大柄な男は歯を食いしばる。
「誰が……。」
「集落を乗っ取って何になる。」
「教えてくれ。」
男は苦しそうに睨み返した。
「……何になるだと?」
「決まってる。」
「俺達が生き残るためだ。」
サナージュは静かに男を見つめた。
「理由を全部聞かせてくれ。」
「俺は戦うためじゃなく、分かり合うためにここへ来た。」
大柄な男は初めて困惑した表情を浮かべた。
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