「試させてもらった、と言われた」
老人はサナージュ達を見つめたまま動かなかった。
「戦いを終わらせたいと言ったな。」
「ああ。」
「本気か?」
「本気だ。」
老人はしばらく黙る。
その後、小さく息を吐いた。
「なら歓迎しよう。」
「……と言いたいところだが。」
老人が杖を軽く突く。
「もし嘘なら、お前達はここで死ぬ。」
ロイスが眉をひそめる。
「ずいぶん物騒だな。」
「当然だ。」
老人は答えた。
「この集落にはバトルロワイヤル参加者しかいない。何度も騙され、多くの仲間を失ってきた。」
「だから簡単には信用できない。」
サナージュは頷く。
「どうすれば信用してもらえる?」
老人は後ろを向く。
「アメイジ。」
家の陰から一人の青年が現れた。
短い黒髪に鋭い目。
「任せてください。」
青年は笑う。
「俺の能力なら、本当か嘘かくらいすぐ分かります。」
サナージュは一歩前へ出た。
「頼む。」
「じゃあ遠慮なく。」
アメイジは右手を前へ突き出した。
魔法陣が展開される。
その上空に透明な結晶が現れた。
ささの表情が変わる。
「サナージュ!」
「避けろ!」
ズドォォォン!!
巨大な結晶が真上から落下した。
ドクン。
サナージュの能力が発動する。
ガキィィン!!
結晶はサナージュに触れた瞬間、砕け散った。
無数の破片が地面へ降り注ぐ。
アメイジは目を見開いた。
「弾いた……?」
村人達もざわつく。
「あり得ない。」
「あの結晶を。」
老人の表情は変わらない。
「まだ終わっていない。」
ロイスが一歩前へ出ようとした。
しかしサナージュが手で制した。
「大丈夫だ。」
「任せろ。」
老人は静かに言う。
「君達が本当に平和を望む者なら、この攻撃のあと私達へ敵意を向けることはない。」
「だが襲ってくるなら敵だ。」
沈黙が流れた。
サナージュは老人を見つめる。
そしてゆっくりと頭を下げた。
「試したかったんだな。」
老人は目を細める。
「そうだ。」
「俺達は怒らない。」
「話し合いに来たんだから。」
ロイスも腕を組みながら笑う。
「もし悪人だったら、結界を壊した時点でこの集落は終わってる。」
「わざわざ話なんてしない。」
マリアも頷く。
「彼の能力は無敵よ。」
「本気ならあなた達は全員やられてる。」
ささは苦笑した。
「私達は戦いをしに来たわけじゃない。」
「だから武器も向けない。」
老人は静かに目を閉じた。
やがて深く頭を下げる。
「……すまなかった。」
「君達を試させてもらった。」
「これで分かった。」
「君達は本当に戦いを終わらせようとしている。」
アメイジも照れくさそうに頭をかく。
「悪かった。」
「俺も疑ってた。」
サナージュは笑った。
「気にするな。」
その瞬間、家々の扉が一斉に開いた。
隠れていた住民達が次々と姿を現す。
子供も老人も、皆どこか安心した表情だった。
「ようこそ。」
「歓迎する。」
「今日はゆっくり休んでくれ。」
サナージュはその光景を見て微笑んだ。
殺し合いの世界でも、まだ信じ合える人はいる。
その事実が何より嬉しかった。
だがサナージュはまだ知らなかった。
この平和な集落にも、近いうち新たな脅威が迫っていることを。
面白ければブックマーク評価お願いします




