「光の球」
森を抜けた瞬間だった。
一つの光が木々の隙間を貫いた。
ドォン!!
爆発音が森中へ響く。
「戦ってる。」
サナージュは音のした方向を見る。
「行こう。」
三人は一斉に駆け出した。
木を飛び越え、草を踏み分ける。
開けた場所へ出ると、一人の少女が数人の能力者に囲まれていた。
少女は両手を前へ突き出す。
淡く輝く球が生まれた。
球は一直線に飛ぶ。
ドォン!!
相手の一人が吹き飛んだ。
だが残る二人は止まらない。
「終わりだ!」
炎が迫る。
少女は後ろへ下がる。
逃げ場がない。
サナージュは飛び出した。
「そこまでだ!」
炎がサナージュへ向かう。
ドクン。
能力が発動する。
炎は弾かれ、そのまま放った本人へ跳ね返った。
「ぐあっ!?」
もう一人が光の刃を放つ。
カキィン!!
それも弾く。
「なんだこいつ!?」
サナージュは相手との距離を一気に詰める。
そして額へ軽く指を当てた。
「デコピンだ。」
ゴッ!!
「があああああ!!」
男は頭を押さえて転げ回る。
残る二人も顔色を変えた。
「化け物だ!!」
二人は逃げようとする。
サナージュは静かに言う。
「逃げるなら追わない。」
「でも、また誰かを襲うなら止める。」
三人はそのまま森の奥へ逃げていった。
静けさが戻る。
少女は警戒したままサナージュたちを見る。
「……助けたつもり?」
「そうだ。」
「どうして?」
「困ってたから。」
少女は少し眉をひそめた。
「変なの。」
サナージュは少女を見る。
未来でも光の球を使う能力者はいた。
村を焼いた犯人を追い続けた頃、一度だけ戦った相手。
だが名前までは知らなかった。
「一つ聞いてもいいか。」
「何?」
「俺たちの仲間になれ。」
少女は目を丸くした。
「……は?」
「俺は殺し合いを終わらせたい。」
「だから仲間が必要なんだ。」
少女は呆れたように笑う。
「意味分からない。」
「普通は相手を仲間に誘わないでしょ。」
「普通じゃないからな。」
ささは思わず笑った。
「それは確かに。」
ロイスも肩をすくめる。
「こいつ昔からこんな感じなんだろうな。」
「未来では違ったけど。」
サナージュは小さく呟いた。
少女はじっとサナージュを見る。
「あなた、本気なの?」
「ああ。」
「なら。」
「まず名前を教えて。」
サナージュは頷いた。
「俺はサナージュ。」
「こっちはささ。」
「ロイス。」
少女は少しだけ迷う。
そして静かに口を開いた。
「……マリア。」
サナージュは初めてその名前を知った。
「そうか。」
「マリア。」
「今日からよろしく。」
マリアはため息をつく。
「勝手に決めないで。」
「でも。」
「嫌じゃない。」
そう言って、小さく笑った。
こうしてサナージュたちは四人になった。
和解への旅は、また一歩前へ進み始めた。
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