「未来から来た弟」
ロイスが仲間になってから三人は森の奥へ移動した。誰かに見つかる危険を避けるためだった。焚き火の火だけが静かに揺れている。誰も口を開かなかった。最初に沈黙を破ったのはささだった。
「ねぇ。」
サナージュは顔を上げる。
「さっきから気になってたんだけど。」
「うん。」
「あなた、私の名前を知ってたよね。」
サナージュは黙る。
サナージュは静かに息を吐いた。
「……話すよ。」
ささは真剣な表情になる。
「全部。」
サナージュは焚き火を見つめた。
炎が揺れる。
「あまり信じられない話になる。」
「でも本当なんだ。」
ささは頷く。
「聞く。」
ロイスも黙って座り直した。
サナージュはゆっくり口を開く。
「俺は未来から来た。」
二人が固まる。
「未来?」
「そう。」
「未来の俺はこの隕石に触って能力を手に入れた。」
「そしてバトルロワイヤルに参加した。」
ささの瞳が大きくなる。
「私も?」
「うん。」
「最初に助けてくれた。」
「そのあと一緒に一年間旅をした。」
ささは信じられないという顔をしていた。
「一年も?」
「そう。」
「たくさん戦った。」
「たくさん人を殺した。」
空気が重くなる。
ロイスは静かに聞いていた。
「未来のロイス。」
「俺は。」
「最初は敵だった。」
「でも。」
「ここで殺されてた。」
ロイスは思わず息を呑んだ。
「え……。」
「だから今回は助けた。」
サナージュは続ける。
「未来では村も焼かれた。」
「その犯人を復讐のために探し続けた。」
「でも。」
「その犯人はもう自分で殺していた。」
ささは何も言えなかった。
「そんな。」
「そのあと。」
サナージュの声が震える。
「ささは俺を探し続けてくれた。」
「一人になった俺を。」
「そして。」
サナージュは拳を握る。
「血だらけで俺の前に現れた。」
ささは息を止める。
「死ぬ直前。」
「俺の姉だって教えてくれた。」
静寂。
焚き火だけが音を立てる。
「そして。」
「ささは死んだ。」
ささは何も言えなかった。
自分の未来を聞いてしまったからだ。
ロイスも言葉を失っていた。
「その後。」
「俺は隕石を壊して真実を知った。」
「全部ゼルクロノスって存在が原因だった。」
「そのゼルクロノスへ攻撃した。」
「でも返り討ちにされて。」
「気付いたら。」
サナージュは周囲を見る。
「この時間に戻ってた。」
長い沈黙が流れる。
ささはゆっくり立ち上がる。
サナージュの前まで歩く。
「……つまり。」
「あなたは未来の私を見届けたのね。」
サナージュは静かに頷いた。
「うん。」
ささは優しく笑った。
「なら。」
「今回は未来を変えよう。」
「私は死なない。」
「あなたも後悔しない。」
「みんなで生き残る未来を作ろう。」
サナージュはその言葉を聞いて、小さく笑った。
「うん。」
「そのために俺は戻ってきたんだ。」
ロイスも立ち上がる。
「俺も協力する。」
「今度は殺し合いじゃない。」
「和解して終わらせる。」
三人は互いを見た。
未来はまだ決まっていない。
だからこそ変える価値があった。
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