「絶望の真実」
サナージュは動かなくなったささを抱き締めた。何度名前を呼んでも返事は返ってこない。体は少しずつ冷たくなっていく。
「姉ちゃん……。」
その言葉を口にした瞬間、胸の奥が締め付けられた。もっと早く知っていれば。もっと早く話してくれていれば。そんな後悔ばかりが頭を埋め尽くす。
「なんでだよ……。」
サナージュは泣いた。子供のように声を上げて泣いた。
洞窟には泣き声だけが響いていた。
しばらくしてサナージュはゆっくり立ち上がる。涙は止まっていた。もう泣き疲れていた。
「姉ちゃん。」
サナージュは洞窟の外に穴を掘った。何時間もかけて一人で掘り続ける。そしてささを静かに横たえた。
「今までありがとう。」
石を積み重ね、小さな墓を作る。
「俺はもう迷わない。」
サナージュは墓に背を向けた。
「このバトルロワイヤルを作った奴を見つける。」
そう呟いた瞬間、洞窟の奥から奇妙な光が漏れた。
「……なんだ?」
奥へ進むと、あの日触れた隕石と同じ色をした巨大な岩が眠っていた。
「これが……。」
近付くだけで頭が痛む。
「姉ちゃんはこれを知ってたのか。」
サナージュは拳を握る。
「全部終わらせる。」
そのまま岩を殴った。
無敵が発動する。
ゴォォォンッ!!
巨大な岩に亀裂が走る。
「まだだ!」
もう一度殴る。
さらに亀裂が広がる。
「砕けろ!!」
三度目の拳が岩に突き刺さった瞬間、岩は粉々に砕け散った。
眩しい光が洞窟を包む。
「ぐあああああっ!!」
サナージュの頭へ大量の記憶が流れ込んできた。
知らない戦争。
無限という言葉。
果てしない宇宙。
そして、一つの名前。
ゼルクロノス。
「ぐっ……。」
膝をつく。
頭の中で無数の声が響く。
『戦争。』
『能力。』
『粒子。』
『無限。』
『ゼルクロノス。』
サナージュは歯を食いしばった。
「なんなんだ……。」
さらに映像が流れ込む。
遥か昔、一人の存在が暴走していた。
その力は宇宙中へ飛び散り、能力の粒子となった。
長い年月を経て粒子は隕石となり、世界各地へ降り注いだ。
人々はそれに触れ、能力者となり、互いに殺し合う運命を背負った。
「そんな……。」
サナージュは震えた。
「俺たちは……。」
さらに真実を知る。
このバトルロワイヤルは誰かが作った遊びではない。
二千年前の戦いが残した副産物。
その残骸が世界を狂わせ続けていただけだった。
「俺たちは……ただの……。」
拳が震える。
「副産物……。」
村も。
仲間も。
ささも。
全ては二千年前の戦いの余波だった。
「ふざけるな。」
怒りが込み上げる。
「俺たちは道具じゃない。」
サナージュは立ち上がる。
「ゼルクロノス。」
その名を初めて口にする。
「お前が全部の始まりなら。」
無敵が今まで以上に膨れ上がる。
心臓が激しく鼓動する。
「俺がお前を倒す。」
その瞬間だった。
サナージュの無敵が変化する。
三秒だった時間は、一気に五分へと伸びる。
そして攻撃を防ぐだけだった能力は、どんな存在にも攻撃を届かせる力へと進化した。
「これが……。」
サナージュは自分の拳を見る。
「俺の新しい力。」
洞窟の外へ歩き出す。
空を見上げる。
「待っていろ。」
「ゼルクロノス。」
「今度は俺がお前のところまで行く。」
その拳には、世界への怒りが宿っていた。
面白ければブックマーク評価お願いします




