「復讐の終わりと始まり」
サナージュとささは一年間旅を続けていた。その一年は短くも長かった。襲い掛かってくる参加者を倒し、時には食料を奪い、時には眠る場所さえない夜を過ごした。サナージュの手は血で汚れ続けた。最初は震えていた手も、今では何の迷いもなく刃を振るうようになっていた。
「次だ。」
「少しは休みなよ。」
「休んでる間にあいつらが逃げたら意味がない。」
ささはため息をついた。
「まだ村のこと考えてる?」
「当たり前だ。」
サナージュは前だけを見て歩いた。
「俺はあいつを殺す。それだけだ。」
その瞳には迷いはなかった。
一年間、その言葉だけを胸に生きてきた。
その日も参加者を見つけた。
相手は二人組だった。
「いたぞ。」
「ガキ二人だ。」
二人は武器を構えて襲い掛かってくる。
サナージュは能力を発動した。
三秒。
刃が弾かれる。
その隙に相手の懐へ潜り込む。
ナイフを突き立てた。
「ぐぁっ……。」
もう一人は逃げようとした。
ささが回り込む。
蹴りが腹へめり込む。
男は吹き飛び、木へ叩きつけられた。
「終わり。」
その一言で首へ刃が走る。
辺りは静かになった。
サナージュは倒れた男を見下ろした。
「違う。」
また違った。
村を焼いた奴ではない。
「また外れか。」
「焦らない。」
「焦る。」
サナージュは拳を握った。
「一年だぞ。」
「……。」
「一年探してる。」
その夜だった。
焚き火の前でささが袋を漁っていた。
「あ。」
「どうした。」
「これ。」
古びた小さな袋だった。
今日倒した男が持っていた物だった。
中には紙が入っていた。
ささが広げる。
そこには数人の名前が並んでいた。
横には能力。
さらに、その下
「仲間 死亡」
そんな文字が書かれていた。
サナージュは紙を受け取る。
一人ずつ目で追う。
その途中だった。
サナージュの手が止まる。
「……。」
そこには書かれていた。
『光球 女』
『死亡』
サナージュの呼吸が止まる。
「……嘘だ。」
ささは黙っていた。
サナージュは震える手で紙を見つめる。
思い出す。
一年前。
光の球を放つ少女。
能力が発動し、戦った。
そして、自分の手で刺した。
「あ……。」
サナージュの膝から力が抜けた。
「違う……。」
村を焼いた犯人。
ずっと探していた相手。
その少女は。
「俺が……。」
サナージュの口が震える。
一年。
一年間。
復讐だけを支えに生きてきた。
人を殺して。
血に染まって。
ここまで来た。
その理由が。
もう存在していなかった。
「そんな……。」
サナージュは地面へ崩れ落ちた。
「そうだったな……だがいつの間にか忘れてた、俺はあいつを殺してた。俺は」
サナージュも薄々は気づいていた、
あの時の少女が村を焼いたことを。でも復讐を理由にしないと、生きれなかった。
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