「再会」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
暗黒空間が震えていた。
ゼルクロノスの周囲には無数のブラックホール。
今もなお宇宙のエネルギーを吸い上げ続けている。
「俺は」
ゼルクロノスが呟く。
「誰なんだ」
答えはない。
ただ破壊だけが広がる。
その時だった。
バチィィィィッ!!
空間が裂けた。
巨大な裂け目。
その中から一人の男が現れる。
ピンク色の髪。
鋭い眼光。
レグルスだった。
レグルスは周囲を見渡した。
無数のブラックホール。
歪み続ける次元。
崩壊寸前の空間。
そして中心に立つゼルクロノス。
「お前」
低い声だった。
ゼルクロノスは反応しない。
俯いたまま。
「おい」
レグルスが近付く。
それでも反応しない。
「おい!!」
叫ぶ。
その瞬間。
ゼルクロノスがゆっくり顔を上げた。
虚ろな瞳。
焦点が合っていない。
レグルスは舌打ちした。
「チッ」
様子がおかしい。
想像以上だった。
「ゼルクロノス」
ゼルクロノスはしばらく黙る。
そして口を開いた。
「俺」
次の瞬間。
「私」
さらに。
「僕」
「ワシ」
「自分」
レグルスの眉が動く。
「なるほどな」
事情を察した。
吸収した何億ものゼルクロノス。
その記憶と人格が混ざり合い。
自我が崩壊している。
ゼルクロノスは再び呟く。
「俺は誰なんだ」
レグルスは答えない。
代わりに拳を握る。
「まず正気に戻れ」
ゼルクロノスは首を傾げた。
まるで子供のようだった。
「正気?」
「そうだ」
「分からない」
その瞬間。
ブラックホールが膨張する。
レグルスの目が細くなる。
「危ねぇな」
ドン!!
レグルスは拳を振った。
衝撃波が発生する。
ブラックホールが吹き飛ぶ。
だが。
次の瞬間には再生した。
「面倒な能力だな」
ゼルクロノスはぼんやりとレグルスを見る。
「お前は誰だ」
レグルスはため息を吐いた。
「忘れたか」
「知らない」
「そうかよ」
数秒の沈黙。
そして。
レグルスはゼルクロノスの胸ぐらを掴んだ。
「やめろよ」
ゼルクロノスの瞳が揺れる。
「お前」
レグルスの声には怒りが混じっていた。
「数年間こんなことしてやがって」
ゼルクロノスは黙る。
「俺は!!」
レグルスが叫ぶ。
「別宇宙の!!」
掴む力が強くなる。
「お前を!!」
ゼルクロノスの身体が揺れる。
「止めたぞ!!」
静寂。
レグルスの怒声だけが響く。
「お前は!!」
「お前は何もしなかったのか!!」
「破壊しかしなかったのか!!」
ゼルクロノスの瞳が大きく開いた。
頭の中で何かが弾ける。
無数の記憶。
無数の人生。
無数の声。
全てが一斉に暴れ始める。
「俺?」
ゼルクロノスが呟く。
「私?」
「ワシ?」
「僕?」
頭を押さえる。
「自分は」
声が震える。
「自分は一体なんなんだ」
そして。
絶叫が暗黒空間に響き渡った。
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