「無敵」
ゼルクロノスはゆっくりと顔を上げた。
視界の先には無数のゼルクロノスたち。
安定派。
統一派。
個々派。
敵も味方も関係なく集まっていた。
全員がゼルクロノスを見ている。
「なんだよ」
ゼルクロノスは笑った。
乾いた笑いだった。
「来いよ」
その瞬間だった。
統一派のゼルクロノスが一斉に動く。
数万。
数十万。
数え切れないほどのゼルクロノスたちが突撃する。
空間が埋まる。
宇宙が埋まる。
「死ねぇぇぇぇ!!」
巨大な光線。
重力崩壊。
空間断裂。
次元破壊。
無数の攻撃が同時に放たれた。
普通なら宇宙そのものが消し飛ぶ。
だが。
ゼルクロノスは動かなかった。
ただ立っていた。
攻撃が命中する。
轟音。
閃光。
衝撃波。
宇宙が揺れる。
そして。
煙が晴れた。
そこには。
何事もなかったように立つゼルクロノスがいた。
「終わりか?」
静かな声だった。
全員の動きが止まる。
「そんな」
誰かが呟く。
「ありえない」
ゼルクロノスはゆっくり右手を上げた。
宇宙が震える。
ゴゴゴゴゴゴゴ。
空間が悲鳴を上げる。
ゼルクロノスの周囲に無数の恒星が出現した。
本物の恒星。
宇宙のエネルギーそのもの。
「俺は分かったんだ」
ゼルクロノスは呟く。
「力ってのはな」
恒星がさらに増える。
百。
千。
万。
「奪うものじゃなかった」
ゼルクロノスの目が赤く光る。
「最初からそこにあったんだ」
次の瞬間。
恒星が放たれた。
宇宙を埋め尽くす光。
逃げ場はない。
防御も意味がない。
轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟。
爆発。
爆発。
爆発。
無数のゼルクロノスたちが吹き飛ぶ。
消滅する。
叫びが響く。
だが。
それでも止まらない。
「まだだ!!」
統一派の軍勢が再び突撃する。
個々派も動く。
数の暴力。
それだけが唯一の希望だった。
しかし。
ゼルクロノスは笑った。
「遅い」
シュン。
姿が消える。
次の瞬間。
統一派の中心に現れた。
拳を振るう。
ゴン。
たった一発。
それだけで数万のゼルクロノスが吹き飛んだ。
宇宙の果てまで。
いや。
宇宙の外側まで。
「なっ!?」
誰も理解できない。
力の次元が違う。
完全に。
圧倒的に。
そして。
戦場の遠くで。
ゼルクルスはその光景を見ていた。
「……まずいな」
初めてだった。
ゼルクルスが焦りを見せたのは。
目の前にいるのは。
もう自分たちと同じ存在ではない。
別の何かだ。
進化の先。
特異点。
そのものだった。
ゼルクルスは拳を握る。
「止めなきゃならない」
その声は小さい。
だが確かだった。
「お前だけは」
そしてゼルクルスは歩き出す。
崩壊していく戦場へ向かって。
最強となったゼルクロノスを止めるために。
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