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「合格」

ファイナルリセッター編 第2話「合格」


落ちる。


また落ちる。


何度目かも分からない。


ルクスは叫んでいた。


「あああああああああああああああああああ!!!!」


地面が迫る。


衝突。


そして時間が引き伸ばされる。


終わらない激痛。


ルクスはもう何回も経験していた。


一回。


二回。


そんな回数じゃない。


何百回。


何千回。


何万回。


分からない。


時間の感覚も壊れていた。


痛みだけが残る。


身体が潰れる。


骨が砕ける。


内臓が押し潰される。


終わらない。


終わらない。


終わらない。


「いやだぁぁぁぁぁぁ!!!!」


そして。


また塔の上。


また無傷。


また最初から。


宇宙の声が響く。


「お前は誰だ」


ルクスは答える。


「ルクスだ!」


即答。


宇宙は沈黙する。


そしてまた落下。


また激痛。


また絶叫。


そして。


また質問。


「お前は誰だ」


「ルクスだ!!」


また落下。


また激痛。


また質問。


「お前は誰だ」


「ルクスだ!!」


また落下。


また質問。


また落下。


また質問。


また落下。


また質問。


永遠。


本当に永遠だった。


ルクスの心は少しずつ削れていく。


思い出が消えていく。


戦争。


セートラス。


レグルス。


ルシカ。


父親。


全部。


少しずつ遠くなる。


宇宙の声。


「お前は誰だ」


「ルクスだ」


声が小さくなる。


宇宙の声。


「お前は誰だ」


「……ルクス」


宇宙の声。


「お前は誰だ」


返事が遅れる。


名前が出てこない。


なぜだ。


自分の名前なのに。


宇宙はまた落とす。


また。


また。


また。


また。


そして。


ある時。


ルクスは質問を聞いた。


「お前は誰だ」


返事ができなかった。


頭の中が真っ白だった。


ルクスとは誰だ。


分からない。


レグルス?


誰だ。


ドク?


誰だ。


戦争?


何だ。


何も思い出せない。


何も残っていない。


宇宙の声。


「お前は誰だ」


ルクスは口を開く。


だが。


答えられない。


沈黙。


長い沈黙。


そして。


宇宙は言った。


「成功だ」


その瞬間。


塔が消えた。


白い世界も消えた。


ルクスは宙に浮く。


力が抜ける。


感情も無い。


怒りも。


悲しみも。


恐怖も。


何も無い。


空っぽだった。


宇宙の声が響く。


「世界の中心」


「世界を見た者」


「世界に利用された者」


「条件を満たした」


ルクスは反応しない。


ただ立っている。


人形のように。


宇宙は続ける。


「お前に役割を与える」


「お前はファイナルリセッター」


「宇宙の終端」


「宇宙の始点」


「全てを終わらせる者」


ルクスの瞳から光が消えた。


返事も無い。


ただ静かに立つ。


宇宙は満足した。


人格は消えた。


意思も消えた。


残ったのは役割だけ。


世界を終わらせるための器。


それが。ルクス。

ファイナルリセッター。


そして宇宙は静かに告げた。


「次の宇宙が始まる」


ルクスは何も言わない。


もう。


ルクスではなかった。

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