「続 無限回転」
「くああああああああああああああああああ!!!!!!」
ルクスは叫んだ。
喉が裂けるほど。
肺が潰れるほど。
叫んだ。
もう嫌だった。
逃げたい。
全部終わらせたい。
人を殺した。
戦争でも殺した。
街も壊した。
デミクロンの人生も壊した。
そして今。
また誰かが自分のために傷付いた。
「クソがぁぁぁぁぁ!!!!」
回転が暴れる。
ブォォォォォォォォォン!!!
空気が捻れる。
床が削れる。
壁が砕ける。
Zティターンは止まった。
観察している。
分析している。
データ収集。
ルクスの戦闘パターン。
能力出力。
反応速度。
全部。
ルクスは立とうとした。
左足は無い。
だから。
近くの鉄骨。
コンクリート片。
瓦礫。
それらを回転に巻き込む。
そして。
義足代わりにする。
ギギギギギギ。
不自然だった。
本来ありえない。
だが立てた。
ルクスは立ち上がる。
息を切らしながら。
血を流しながら。
Zティターンを見る。
「来いよ」
震えていた。
身体も。
声も。
心も。
全部。
だが。
前に出る。
Zティターンが動いた。
雷。
ドォン!!
回転防御。
ギャリィィィィィン!!
衝撃。
ルクスの身体が吹き飛ぶ。
痛い。
痛い。
痛い。
だが。
慣れていた。
戦争で。
何度も。
何度も。
味わった。
だから立つ。
「回れぇぇぇぇぇ!!」
竜巻。
巨大な回転。
それが触手のように伸びる。
一本。
二本。
三本。
十本。
二十本。
Zティターンへ襲いかかる。
捕まえる。
締め上げる。
捻る。
潰す。
引き裂く。
だが。
効かない。
全く。
効かない。
Zティターンは動かない。
ルクスの顔が歪む。
「なんでだよ」
そして。
Zティターンが腕を上げた。
空が黒く染まる。
雷。
一本じゃない。
十本じゃない。
八十。
八十の雷。
それを。
束ねる。
一本に。
世界が青白く染まる。
ルクスも分かった。
死ぬ。
今度こそ。
絶対に。
回転を最大出力。
防御。
全部。
全力。
だが。
無理だ。
本能が告げる。
無理だ。
Zティターンが槍を放つ。
ドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
衝突。
回転。
雷。
激突。
その瞬間。
地獄だった。
雷が回転に乗る。
四方八方へ飛び散る。
基地。
兵士。
建物。
全部に被害が出る。
だが。
ルクスは見ていなかった。
誰かを守ろうなんて思っていなかった。
ただ。
死にたくなかった。
逃げたかった。
それだけだった。
そして。
回転が。
負けた。
ピシッ。
何かが割れる音。
ルクスの目が見開く。
回転が崩壊する。
終わる。
そう思った。
だが。
違った。
崩壊じゃない。
暴走だった。
ブォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
回転が加速する。
さらに。
さらに。
さらに。
ルクスですら見えない速度。
理解できない速度。
回る。
回る。
回る。
世界が歪む。
空間が歪む。
Zティターンが初めて動揺した。
後退する。
データに無い。
計算に無い。
観測不能。
回転はさらに加速する。
ルクスの髪が逆立つ。
血が蒸発する。
瓦礫が消える。
鉄が消える。
地面が消える。
そして。
Zティターンの腕が触れた。
その瞬間。
消えた。
切断じゃない。
破壊じゃない。
消失。
存在そのものが消えた。
Zティターンが初めて後ろへ下がる。
ルクスも理解できない。
何が起きている。
だが。
止まらない。
回転は止まらない。
そして。
Zティターンを飲み込んだ。
巨大な渦。
終わりの見えない渦。
Zティターンが消えていく。
腕。
脚。
胴体。
雷。
嵐。
全部。
消える。
Zティターンは理解できなかった。
なぜ負けるのか。
なぜ消えるのか。
なぜ解析できないのか。
そして。
最後に。
頭部の結晶が砕けた。
パリン。
静かな音だった。
次の瞬間。
Zティターンは完全に消滅した。
跡形もなく。
そして。
戦場には。
巨大な回転だけが残っていた。
ルクスは立っていた。
いや。
立っているだけだった。
意識はもう無い。
目も焦点が合っていない。
それでも。
回転は止まらない。
誰にも止められない。
まるで世界そのものを巻き込むように。
無限に。
無限に。
無限に回り続けていた。
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