表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/154

「ありがとう」


ルクスはドクと食事を終えた後、一人でレグルスを探していた。どうしても言わなければならないことがあったからだ。


格納庫の近くでレグルスを見つける。


レグルスは壁にもたれて缶コーヒーを飲んでいた。


「レグルス」


「おう」


レグルスは振り返る。


ルクスは少し黙った。


そして頭を下げた。


「この前はごめん」


レグルスは目を丸くする。


「なんの話だ?」


「空挺に戻った時」


「ああ」


差し出された手を払った時のことだった。


ルクスは拳を握る。


「あの時は色々限界だった」


「分かってる」


レグルスは笑った。


「だから気にしてない」


「でも」


「気にしてないって言ってんだろ」


ルクスは黙る。


レグルスは缶コーヒーを一口飲んだ。


「お前は辛い状況にいた」


「五年間潜入して」


「人を騙して」


「戦争して」


「帰ってきたら父親が捕虜」


レグルスは肩をすくめる。


「俺でもあんな反応する」


ルクスは少し笑った。


本当に少しだけ。


レグルスも笑う。


「だから謝罪は受け取った」


「ありがとう」


「おう」


しばらく沈黙が続く。


嫌な沈黙ではなかった。


戦争の終わりが近い空気だった。


ルクスは空を見る。


「なあ」


「なんだ」


「俺さ」


言葉を探す。


「ドクがいて良かった」


レグルスは吹き出した。


「急に惚気か?」


「違う!」


「顔赤いぞ」


「うるさい!」


久しぶりだった。


こんな会話。


レグルスは笑う。


「生きろよ」


ルクスは少し驚く。


「何だよ急に」


「いや」


レグルスは空を見る。


「生きてりゃどうにかなることもある」


「そういうもんだ」


ルクスは返事をしなかった。


だが少しだけ。


本当に少しだけ。


未来を考えた。


ドクと話す未来。


戦争が終わった未来。


そんなものを。


その頃。


空挺の奥では騒ぎになっていた。


収容室から連絡が返ってこない。


隊員達が扉を開く。


そして絶句した。


ブイゼンは動かない。


ルシカも動かない。


誰かが震える声で言った。


「医療班を呼べ!!」


だが。


もう遅かった。


空挺の中に重い沈黙が広がる。


その知らせがルクスの元へ届くまで。


あと少しだった。

面白ければブックマーク評価お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ