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「塹壕」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!


銃声が鳴り響く。


大砲が空を裂く。


爆発で土が吹き飛ぶ。


ここはセートラス国。


五年前の戦いから全てが狂った。


空から現れた雷と嵐の怪物。


そしてそれを倒した謎の生命体。


怪物は海の底へ封印された。


だが戦いの被害は残った。


物資不足。


資源不足。


食料不足。


それらが積み重なり戦争が起きた。


一度は休戦した。


だが再び戦争になった。


誰も止められなかった。


塹壕の中。


若い兵士達が息を潜めている。


その中に二人の兵士がいた。


ルグシカス。


そしてデミクロン。


ルグシカスは壁にもたれながら空を見た。


「なあ」


デミクロンが振り向く。


「なんですか先輩」


ルグシカスは苦笑した。


「この戦いはいつ終わるんだろうな」


デミクロンは少し考えた。


そして笑った。


「みんな思ってますよ」


「だよな」


ルグシカスはため息をつく。


「お前まだ十四だろ」


「はい」


「本来ならこんな場所に来る歳じゃない」


デミクロンは黙る。


ルグシカスは続けた。


「俺は二十歳だ」


「それでも戦争なんて嫌なのにな」


しばらく沈黙が流れる。


遠くで砲撃が聞こえる。


デミクロンが小さく言った。


「僕達はもう自由じゃないんですよ」


ルグシカスは何も言わなかった。


その言葉があまりにも重かったからだ。


次の瞬間。


ドォォォォォン!!


塹壕のすぐ近くで爆発が起きた。


土砂が降り注ぐ。


悲鳴が上がる。


「砲撃だ!!」


「伏せろ!!」


兵士達が叫ぶ。


ルグシカスは顔をしかめた。


「どうやって位置がバレた!?」


また砲弾が落ちる。


ドォン!!


ドォン!!


ドォン!!


塹壕が崩れていく。


兵士達が吹き飛ぶ。


地獄だった。


誰もが死を恐れていた。


だが逃げ場はない。


ルグシカスはライフルを握る。


「立て!」


「まだ終わってねえ!」


兵士達が顔を上げる。


ルグシカスは塹壕の上を見る。


敵軍の砲撃は続いている。


「セートラス万歳!!」


叫びながら飛び出した。


兵士達も続く。


銃弾が飛ぶ。


爆発が起きる。


そして。


パンッ。


乾いた音が響いた。


ルグシカスの身体が揺れる。


胸から血が流れた。


デミクロンの顔が青ざめる。


「先輩!!」


ルグシカスはその場に倒れた。


動かない。


返事もない。


デミクロンは息を呑んだ。


怒り。


悲しみ。


恐怖。


全てが混ざる。


そして彼は爆弾を抱えた。


「うわああああああああああ!!」


塹壕から飛び出す。


敵陣へ向かって走る。


もう何も考えていなかった。


その時だった。


「よく待ったな」


聞き覚えのない声。


次の瞬間。


ドォォォォォン!!


巨大な爆発が戦場を揺らした。


デミクロンは思わず立ち止まる。


煙の向こう。


そこには一人の男が立っていた。

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