表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
117/168

「夏祭り」


二年が経った。


セートラスとの戦争は終わっていた。


傷は残っている。


失った人も戻らない。


それでも人は生きていく。


デヴァイスも以前の活気を取り戻しつつあった。


そして今日は年に一度の夏祭りだった。


ルクスは祭り会場を歩いていた。


屋台。


提灯。


笑い声。


二年前の戦争が嘘みたいだった。


「ルークス!」


聞き慣れた声。


振り向く。


ドクだった。


紫色の髪が揺れる。


ルクスの心臓が跳ねた。


二年経っても治らない。


むしろ悪化していた。


「お、おう」


「おうじゃないよ」


ドクは笑った。


「一緒に回ろうよ」


ルクスの脳が停止した。


「え?」


「だから一緒に回ろうって」


「いや聞こえてる」


「じゃあ行こう」


腕を引かれる。


ルクスは連行された。


遠くの屋台。


先輩達が見ていた。


「行った」


「行ったな」


「もう付き合えよ」


レグルスは焼き鳥を食べながら笑う。


「二年経っても進展遅すぎだろ」


ルシカは肩を震わせていた。


笑いを堪えている。


ルクス達はまずりんご飴を買った。


ドクは嬉しそうだった。


「やっぱりこれだよね」


「好きだな本当に」


「好き」


その言葉だけでルクスは固まる。


ドクは気付いていない。


りんご飴の話である。


ルクスだけが致命傷を負った。


その後も焼きそば。


射的。


金魚すくい。


色々回った。


気付けば日も暮れていた。


「花火見に行こう」


ドクが言った。


ルクスは嫌な予感がした。


そして当たった。


案内された場所。


あの山だった。


「ここ好きだな」


「景色いいからね」


ルクスは苦笑する。


二年前。


ここで大暴走した。


今では笑い話だった。


二人は腰を下ろす。


しばらく沈黙。


風が吹く。


そして。


ドクがルクスの肩にもたれかかった。


ルクスの脳が停止した。


完全停止。


再起動不可。


「ド、ドドドドドドドドドド」


「なに?」


「いやなんでもない」


ドクは小さく笑った。


「変なの」


遠くで花火が上がる。


大輪の花。


夜空を照らす光。


ルクスは花火を見ようとした。


だが無理だった。


隣にいるドクが気になりすぎた。


花火なんてほとんど見ていない。


そして祭りが終わる。


二人は帰り道を歩いていた。


ドクは少し眠そうだった。


「楽しかった」


「そうだな」


「来年も行こうね」


ルクスは少し驚く。


そして笑った。


「おう」


その約束だけで。


ルクスは十分幸せだった。


そしてその頃。


支部では。


レグルス。


ルシカ。


そして生き残った隊員達が酒を飲んでいた。


「で?」


レグルスが聞く。


「進展したと思う?」


全員首を横に振った。


ルシカが吹き出す。


「まだだろうね」


満場一致だった。

面白ければブックマーク評価お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ