「休戦」
戦いは終わった。
勝利だったのか。
敗北だったのか。
誰にも分からなかった。
ただ一つ分かることがある。
特攻隊は全滅した。
皆死んだ。
ルクスは報告書を見つめていた。
何度読んでも変わらない。
死亡。
死亡。
死亡。
死亡。
文字だけが並んでいる。
レグルスだけが生き残った。
満身創痍だった。
身体中包帯だらけ。
左腕もまともに動かない。
それでも生きて帰ってきた。
ルクスは病室を訪れた。
レグルスはベッドの上にいた。
静かだった。
いつもなら冗談の一つでも言う。
今日は違う。
「よう」
それだけだった。
ルクスは何も言えない。
レグルスも何も言わない。
しばらく沈黙が続いた。
やがてルクスが口を開く。
「みんな死んだ」
レグルスは頷く。
「そうだな」
「俺がもっと強ければ」
「俺がもっと早く」
レグルスは首を振った。
「違う」
声は弱かった。
それでもはっきりしていた。
「お前が背負うな」
ルクスは俯く。
そんなこと言われても無理だった。
自分を守るために死んだ。
そう思ってしまう。
レグルスは窓の外を見る。
「最後までな」
「笑ってたぞ」
ルクスは顔を上げる。
「え?」
「お前なら何とかしてくれるって」
レグルスは苦笑した。
「勝手な連中だ」
病室が静かになる。
その時だった。
支部内に放送が流れる。
全員が耳を傾ける。
『セートラス国との休戦が成立しました』
誰も歓声を上げなかった。
喜べなかった。
あまりにも失ったものが大きすぎた。
戦争は止まった。
けれど。
死んだ人達は帰ってこない。
ルクスは病室を出た。
廊下を歩く。
気付けば慰霊碑の前にいた。
まだ仮設のものだ。
そこに先輩達の名前が刻まれている。
ルクスはしばらく黙っていた。
そして小さく呟く。
「絶対無駄にしないから」
返事はない。
だけど。
あの人達なら。
きっと笑っている気がした。
戦争は休戦した。
だがルクス達の傷は。
まだ何一つ癒えていなかった。
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