「戦場」
ルクスは前線に立っていた。
目の前にはセートラス軍。
同じ人間。
地球外生命体ではない。
昔の自分なら何も考えなかった。
人を痛めつけることも。
傷付けることも。
自分はそういう人間だった。
だが今は違う。
ドクと出会った。
先輩達と出会った。
レグルスと出会った。
ルシカと出会った。
だから変わった。
人を殺したくない。
人を傷付けたくない。
本気でそう思っていた。
だが。
戦場はそんなことを許してくれない。
銃弾が飛んでくる。
隊員が倒れる。
悲鳴が聞こえる。
ルクスは歯を食いしばった。
「くそっ!」
地面を回転させる。
大地が螺旋状に捻じ曲がる。
敵兵達が転倒した。
武器を落とす。
ルクスは武器だけを破壊していく。
誰も殺さない。
そう決めていた。
しかし。
その時だった。
一人の敵兵が銃を構える。
狙いはルクスではない。
負傷して動けないデヴァイス隊員。
引き金が引かれる。
ルクスは反射的に回転を放つ。
敵兵ごと吹き飛ばした。
敵兵は岩に激突する。
動かない。
生きているのか。
死んでいるのか。
分からなかった。
ルクスの顔から血の気が引く。
「俺は……」
吐き気がした。
守りたかっただけだった。
だけど結果はどうだ。
人を傷付けた。
もしかしたら殺したかもしれない。
その時。
通信が入る。
『ルクス!前を見ろ!』
レグルスだった。
ルクスは顔を上げる。
敵戦車が迫っている。
考え込んでいる暇は無かった。
戦場は待ってくれない。
ルクスは拳を握る。
「っ……!」
戦うしかなかった。
守るために。
誰かを傷付けることになったとしても。
戦場はそれを求めていた。
そしてルクスは初めて知る。
戦争とは。
正しい人間すら壊していくものなのだと。
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