「切り札」
セートラス軍の侵攻は予想以上に早かった。
国境付近の都市が次々と制圧されていく。
デヴァイスも出動した。
相手は地球外生命体ではない。
同じ人間だった。
だから隊員達の表情は重い。
ルクス達も前線へ送られた。
砲撃が響く。
戦車が進む。
銃声が鳴り止まない。
まるで地獄だった。
「前進!」
先輩達が叫ぶ。
ルクスも走る。
敵兵が銃を向ける。
その瞬間。
地面が螺旋状に回転した。
敵兵達がバランスを崩して倒れる。
ルクスはそこへ突撃した。
回転を利用して武器を弾き飛ばす。
殺さない。
それがデヴァイスの方針だった。
だが戦場は甘くない。
別の場所では隊員が撃たれていた。
悲鳴が上がる。
爆発が起きる。
ルクスは歯を食いしばった。
戦争を止めたい。
だけど今は目の前の敵を止めるしかない。
戦いは数日続いた。
そしてルクスは気付く。
セートラス軍は異常だった。
補給が足りていないはずなのに攻撃が止まらない。
兵士達も異様に士気が高い。
まるで何かに追い詰められているようだった。
司令部でも同じ疑問が出ていた。
レグルスは地図を見る。
ルシカも腕を組む。
「何かがおかしい」
ルシカが呟く。
その時だった。
通信が入る。
前線が突破された。
しかも複数箇所。
隊員達に緊張が走る。
レグルスは静かに言った。
「切り札を使う」
全員がルクスを見る。
ルクスは固まった。
自分だ。
デヴァイス最強戦力。
回転能力者。
ゼルクロノスを封印した男。
いつの間にかそう扱われていた。
ルクスは嫌だった。
怖かった。
失敗したらどうなる。
そんな考えが頭をよぎる。
だが。
後ろを見る。
先輩達がいる。
ドクがいる。
ルシカがいる。
レグルスもいる。
守りたいものがあった。
ルクスは深呼吸する。
そして立ち上がった。
「行ってきます」
レグルスは笑った。
「おう」
ルシカも頷く。
「死ぬなよ」
ルクスは前線へ向かった。
自分が切り札だと言われる戦場へ。
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