「戦争の始まり」
レグルスZはゼルクロノスを封印した後、何も言わず空へ飛び去った。
その後どこへ行ったのか誰も知らない。
ルクス達は生き残った隊員達と共に新しく建設された支部へ移っていた。
ゼルクロノスの襲撃で失われたものは多かった。
仲間。
街。
そして物資。
地球全体が深刻な物資不足に陥っていた。
食料は配給制になった。
燃料も足りない。
医薬品も不足している。
デヴァイスですら例外ではなかった。
そんなある日だった。
支部中に警報が鳴り響く。
隊員達が集められる。
前に立っていたのはレグルスとルシカだった。
二人の表情は重い。
ルクスは嫌な予感がした。
レグルスが口を開く。
「戦争が始まった」
その一言で空気が凍る。
誰も喋らない。
レグルスは続けた。
「相手はセートラス国」
「物資不足が原因だ」
モニターに映像が映る。
燃え上がる街。
戦車。
戦闘機。
避難する人々。
セートラスは周辺国家への侵攻を開始していた。
目的は資源。
食料。
燃料。
生き残るためだった。
ルクスは拳を握る。
「そんな理由で戦争を……」
ルシカが静かに言った。
「そんな理由だから戦争になるんだ」
誰も反論できなかった。
食べ物が無い。
薬が無い。
燃料も無い。
追い詰められた人間は正しい判断ができなくなる。
ルシカはその光景を見ていた。
カプ星で。
そして今。
また同じことが起きようとしていた。
会議が終わる。
隊員達はそれぞれ持ち場へ向かった。
ルクスは食堂へ向かう。
気分が重かった。
戦争。
その言葉だけで胸が苦しくなる。
すると向こうからドクが歩いてきた。
ドクもニュースを見たらしい。
少し不安そうな顔をしていた。
ルクスは思わず立ち止まる。
ドクも立ち止まる。
数秒間沈黙。
そして。
「大丈夫か?」
ほぼ同時だった。
二人とも同じ言葉を言ってしまう。
一瞬静かになる。
ドクが笑った。
ルクスも少し笑った。
戦争が始まる。
それでも。
守りたい日常はまだここにあった。
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