「レグルス」
続きとして修正版を書きます。
ルクス収容編 第19話「レグルスZ」
「その男の名は――レグルスだ」
ルシカの言葉にその場の全員が固まった。
「レグルス?」
「いや、レグルスならいるだろ」
隊員達が困惑する。
地面に降り立った謎の生命体はゼルクロノスを見つめていた。
まるで獲物を見るように。
レグルスも空を見上げる。
「俺がいるのにレグルス?」
ルシカは苦笑した。
「説明すると長い」
「別宇宙のレグルスだ」
全員がさらに混乱する。
その頃には隊員達の間で勝手に呼び名が生まれていた。
「レグルス二号?」
「レグルスX?」
「いやZじゃね?」
「レグルスZだな」
誰かがそう言った。
そして自然と定着した。
レグルスZ。
その呼び名だけが一人歩きした。
ゼルクロノスは警戒していた。
目の前の男は危険だ。
本能が叫んでいる。
だから雷を放つ。
数十本の雷。
支部を消し飛ばした攻撃。
だが。
レグルスZは避けない。
レリックが光る。
雷は身体の横を逸れていった。
「なるほど」
レグルスZは呟く。
「そっちもレリックか」
次の瞬間。
二人が消えた。
轟音。
衝撃波。
空気が裂ける。
山の一部が吹き飛ぶ。
ルクス達には何が起きたのか見えない。
ただ分かる。
強い。
桁違いに。
ゼルクロノスが雷を落とす。
レグルスZが岩盤を結合して防ぐ。
暴風が吹き荒れる。
山が崩れる。
戦いそのものが災害だった。
ルクスは装置を握る。
だが近付けない。
一歩踏み出せば死ぬ。
それほどの戦場だった。
「くそっ……」
その時。
レグルスZが叫んだ。
「おい!」
ルクスが顔を上げる。
「お前が装置を持ってるんだろ!」
「はい!」
「なら俺が隙を作る!」
ゼルクロノスが雷を束ねる。
巨大な槍になる。
だがレグルスZは笑った。
そして地面を踏み砕く。
無数の岩石が飛ぶ。
それら全てを結合。
巨大な腕のような形になる。
そして。
ゼルクロノスを殴り飛ばした。
初めてだった。
ゼルクロノスが吹き飛ばされたのは。
海まで。
何十キロも。
海面を跳ねながら飛んでいく。
「今だ!」
ルクスは走った。
回転能力を全開にする。
海岸へ。
海へ。
吹き飛ばされたゼルクロノスへ。
ゼルクロノスも立ち上がる。
雷を放とうとする。
だが一瞬遅かった。
ルクスは装置を押し付ける。
眩い光が溢れる。
海面が揺れる。
巨大な封印陣が海中へ広がった。
ゼルクロノスが暴れる。
雷が荒れ狂う。
台風が発生する。
それでも封印は止まらない。
光の鎖が身体へ巻き付く。
海底へ。
さらに深く。
さらに深く。
沈んでいく。
ゼルクロノスは最後まで抵抗した。
だが。
やがて姿は見えなくなった。
海だけが残る。
静かな海だった。
ルクスはその場へ座り込む。
息が上がる。
腕も震えている。
それでも。
封印できた。
倒した訳ではない。
殺した訳でもない。
だが守れた。
レグルスZは海を見つめる。
「とりあえずは終わりだな」
そう呟いた。
その言葉を聞いて。
初めてルクスは力が抜けた。
本当に終わったのだと。
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