「再襲」
ルクスは久しぶりにドクを見かけた。
ただそれだけだった。
話した訳でもない。
隣に座った訳でもない。
廊下ですれ違っただけだった。
それでも救われた。
能力の暴走。
先輩達からの不信感。
ゼルクロノスへの恐怖。
その全てが少しだけ軽くなった気がした。
ドクもルクスに気付いていた。
だが声はかけなかった。
レグルスから聞いていたのだ。
今のルクスは少し疲れている。
だからそっとしておいてあげてほしいと。
ドクは小さく手を振った。
ルクスも少しだけ手を振り返した。
それだけだった。
その頃。
レグルスとルシカは支部の一室で晩酌していた。
この世界でルシカの事情を知る数少ない人間。
それがレグルスだった。
別宇宙だろうと友達になれる。
二人はそんな関係だった。
「最近どうだ」
「相変わらずだよ」
ルシカが苦笑する。
その時だった。
ゴロゴロゴロゴロ―――
窓が震えた。
雷鳴。
そして暴風。
二人の表情が変わる。
「まさか」
「来たな」
同時だった。
二人とも理解した。
ゼルクロノスだ。
警報が鳴り響く。
隊員達が走り出す。
そして次の瞬間。
空が白く染まった。
雷。
一本や二本ではない。
数十本。
いや。
五十本以上。
束ねられた雷撃が空から落ちる。
轟音。
仮設本部が消えた。
爆発ですらなかった。
存在ごと消し飛んだ。
そこには幹部達もいた。
ルクスがいつか殴り飛ばそうと思っていた相手達も。
全員。
一瞬だった。
「ふざけんなよ……」
ルクスが呟く。
ゼルクロノスは空にいた。
だが次の瞬間には消える。
そして。
別の支部が壊滅。
さらにもう一つ。
壊滅。
誰も追いつけない。
誰も止められない。
気付けば残ったのは。
ルクス達のいる支部だけだった。
ルシカは拳を握り締める。
今まで見たこともないほど怒っていた。
そして支部の保管庫へ走る。
奥から一つの装置を持ち出した。
金属製の円筒。
古いが厳重に保管されていたもの。
ルシカはルクスへ押し付ける。
「持て」
「これ何ですか」
「ゼルクロノスを閉じ込めるための装置だ」
ルクスは驚く。
「俺が?」
「お前しかいない」
ルシカの目は本気だった。
ルクスは黙って受け取った。
一方。
ゼルクロノスは鎧を纏っていた。
宇宙を彷徨っていた時に見つけた鎧。
その名はインペリアルレリック。
ゼルクロノスは鎧に触れた時。
その名と能力を読み取っていた。
必ず攻撃が当たる。
そして自分への攻撃は当たらない。
理不尽そのものだった。
ルクスは飛び出す。
回転を纏う。
だが。
攻撃が当たる。
避けても当たる。
防御しても当たる。
レリックがルクスの回転防御へ正確に攻撃を叩き込んでくる。
血が飛ぶ。
地面を転がる。
それでも立ち上がる。
装置を使おうとする。
だがその度に攻撃が飛んでくる。
「くそっ!」
誰の目にも明らかだった。
このままでは負ける。
その時だった。
空が割れた。
誰かが落ちてくる。
炎を引きながら。
隕石のように。
地面へ激突する。
轟音。
土煙。
全員が空を見る。
そして。
そこに立っていた。
黒い鎧。
そして。
インペリアルレリック。
だが。
ゼルクロノスのものとは違う。
命を吸わない改良型。
男はゆっくり顔を上げた。
「やっと見つけた」
ルクス達は息を呑む。
男はゼルクロノスを見る。
そして笑った。
その男の名は。
「レグルス。」
ルシカが言う
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