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「新しい生活」


ルクスが目を覚ました時、知らない天井が見えた。正確には知らない訳ではない。デヴァイスの支部だった。本部ではない。


身体を起こそうとして激痛が走る。


「痛っ!」


思わず叫ぶ。


すると部屋の扉が開いた。


入ってきたのはレグルスだった。


「起きたか」


「ここどこですか」


「第二支部」


ルクスはそこでようやく思い出した。


ゼルクロノス。


雷。


戦闘。


そして気絶したところまで。


「あいつは!?」


「逃げた」


レグルスは短く答えた。


ルクスはしばらく黙る。


勝ったという実感は無かった。ただ生きていることだけが不思議だった。


「本部は?」


「壊滅だ」


その言葉で空気が重くなる。


デヴァイスには本部と四つの支部がある。その本部が消えた。


被害は大きかった。


数日後。


ルクスは支部で生活を始めた。


監視付きだった。


当たり前だった。


人を殺した前科がある。


さらにゼルクロノスとの戦闘では理解不能な力を見せた。


警戒されるのは当然だった。


だが意外なことに先輩達は普通に接してきた。


「飯行くぞ」


「訓練だ」


「掃除当番手伝え」


ルクスは戸惑う。


もっと嫌われていると思っていた。


だが少なくとも表面上は違った。


そして訓練も始まった。


目的は一つ。


能力を無意識ではなく意識して使えるようになること。


「回転しろ」


「してます」


「してない」


「してるって!」


そんなやり取りが毎日のように続いた。


だが成果はほとんど出ない。


戦闘中はあれだけ動いた能力が平時になると全く言うことを聞かなかった。


ある日の夜。


ルクスは一人で座っていた。


空を見上げる。


ゼルクロノスのことを思い出していた。


あの怪物。


あの恐怖。


そして最後に見せた顔。


「あれ何だったんだろ」


あの時。


確かにゼルクロノスは怖がっていた。


ルクスにはそう見えた。


怪物にも恐怖はあるのかもしれない。

そんなことを考えていると後ろから声がした。


「黄昏れてるな」


振り返る。


ドクだった。


「別に」


「嘘つけ」

 

ドクは隣に座る。

しばらく二人で黙っていた。

平和だった。


少なくとも今だけは。

だがその平和は長く続かなかった。

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