第二十一章 鉄砲外交の拡大と世界市場への進出
南蛮勢力の艦隊が長崎沖から退いた翌日、
安土城の政庁では、信忠が新たな地図を広げていた。
それは――
アジアではなく、世界全体の地図だった。
柴田勝家が驚いた声を上げる。
「殿……これは、インド、ペルシャ、オスマン、
果てはヨーロッパまで描かれておりますぞ」
信忠は静かに頷いた。
「日本は南蛮の脅しを退けた。
アジア同盟網も整った。
ならば次は――世界市場だ」
丹羽長秀が息を呑む。
「殿……日本が世界へ進出するおつもりか」
信忠は迷いなく答えた。
「そうだ。
鉄砲外交を世界規模へ拡大する。
日本製の鉄砲を世界へ売り、
日本を“世界経済の中心”にする」
■鉄砲の規格統一と大量生産
信忠は国友・堺の鍛冶たちを安土城へ呼び寄せた。
「鉄砲の規格を完全に統一する。
口径、火蓋、銃身の長さ、部品の形状――
すべてを“織田式”に揃える」
鍛冶たちは驚いた。
「殿……それは、世界に通用する鉄砲を作るということ……?」
信忠は頷いた。
「そうだ。
世界のどこでも使える鉄砲を作る。
修理も容易で、部品交換もできる。
これが、世界市場を取るための第一歩だ」
鍛冶たちは胸を熱くした。
「殿……国友は命を賭して鉄砲を作ります!」
「堺も全力で協力いたします!」
■世界市場への輸出ルート構築
信忠は地図を指差した。
「まずはアジア同盟網を使う。
琉球からシャムへ、シャムからインドへ、
インドからペルシャへ、
そしてオスマン帝国へ鉄砲を売る」
宗久が驚愕した。
「殿……オスマン帝国は世界最大の軍事国家にございますぞ」
信忠は静かに言った。
「だからこそ、鉄砲を売る価値がある。
オスマンが日本製鉄砲を使えば、
南蛮世界は日本を無視できなくなる」
茶屋四郎次郎が興奮気味に言った。
「殿……これは、世界の戦の流れを日本が握るということ……!」
信忠は頷いた。
「そうだ。
鉄砲は戦の道具ではなく、
世界を動かす道具だ」
■日本製鉄砲の評判
数ヶ月後、シャム・インド・ペルシャから報告が届いた。
「日本製鉄砲は南蛮製より精度が高い」
「部品交換が容易で、修理が早い」
「湿気に強く、壊れにくい」
「価格が安いのに性能が高い」
世界の商人たちは驚いた。
「日本は鉄砲の国だ……!」
「南蛮より優れた武器を作る国が東の果てにあったとは……!」
日本製鉄砲は瞬く間に世界市場を席巻した。
■南蛮世界の危機感
ポルトガル商人は焦り、
スペイン総督は怒り、
宣教師たちは恐怖した。
「日本製鉄砲が世界へ広がれば、
南蛮の軍事力は相対的に弱まる……!」
「日本が世界の武器市場を握れば、
我らの植民地政策は崩壊する……!」
「織田信忠は危険だ。
このままでは、日本が世界を動かす側になる……!」
南蛮世界はついに理解した。
日本は脅すべき相手ではなく、
止めるべき相手だ。
■信忠の宣言
安土城の天守で、信忠は重臣たちに向かって言った。
「日本は世界へ進む。
鉄砲を売り、絹を売り、陶磁器を売り、
南蛮貿易を管理し、
世界市場を日本の手に収める」
勝家が深く頭を下げた。
「殿……これは、戦国のどの天下人も成し得なかった天下にございます」
長秀が続けた。
「殿は日本を守るだけでなく、
日本を世界へ押し出すお方にございます」
信忠は静かに言った。
「父上……私はあなたの夢を超えます。
日本を世界の中心へ進ませます。
これが、織田幕府の天下です」
琵琶湖の風が安土城を揺らし、
新しい時代の始まりを告げていた。




